研究課題/領域番号 |
23659270
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
大滝 純司 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20176910)
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キーワード | 医学教育 / 臨床医学 / 臨床推論 / 教材開発 / 合意形成 / システム開発 |
研究概要 |
本研究の目的は、作成が困難とされてきた臨床推論の教材を指導医の合意形成を促しながらインターネット上で作成し、その成果物を共有化することを可能にする「臨床推論学習教材共有システム」を開発することにある。平成24年度は、このシステムの試作と試験的運用を中心に研究活動を展開した。 ① 研究協力者の確保: すでに臨床推論の指導にくわしい臨床指導医(京都大学 錦織宏准教授(連携研究者)、九州大学 菊川誠助教、北海道大学 川畑秀伸 助教、福知山市民病院 川島篤志 医長)による作業班を組織していたが、新たに名古屋大学 松井智子大学院生、市立奈良病院 漆原由佳の2名を加えた。 ② 利用する情報ネットワークの選定: 前年度の研究結果を基に、利用する情報ネットワークの選定について検討した。既存のインターネットサービスでは、管理者や参加者が利用する際のインターフェイスが煩雑になることがこれまでの検討で明らかになったことから、構造と機能をより簡潔にし、利用が容易なインターフェイスを備えたシステムを独自開発することを決定し、開発作業を委託する業者を選定した。 ③ 試作版の開発: 選定した業者と、システムに求められる機能やインターフェイスについて打ち合わせを繰り返しながら、システム(試作版)を開発した。 ④ システム(試作版)の試験的運用の開始: 開発したシステム(試作版)の試験的運用を開始した。 ⑤ 研究成果の中間報告: 研究の経過と現段階での成果を中間報告する目的で、日本内科学会講演会、日本プライマリ・ケア連合学会、日本医学教育学会、日本シミュレーション医療教育学会に演題を応募し、いずれも採択された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初に予定していた、① 利用する情報ネットワークの選定、② 試作版の開発、③ 教材作成システム(試作版)の試験的運用、④ 研究成果の中間報告、のいずれについても実現することができた。研究協力者との打ち合わせや、情報ネットワークサービスの検討の大半はインターネットを利用して行うことができたため、当初の予定よりも経費を節減することができた。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は、継続的な改良と成果物の公開とさらなる展開を行う。まず、前年度の研究成果をもとに開発したシステム(試作版)の①継続的な改良を行い、②成果物の公開と共有化を開始する。具体的には、国内の関連学会での研究報告を継続的に行うとともに、このシステム(試作版)により作成された教材を、ホームページなどを利用して公開する体制を構築する。これらの研究活動と並行して、研究協力者を中心にこのシステム(試作版)に対する③意見や要望の収集を行う。これらの研究活動を通して、インターネットを利用した合意形成システムによる教材開発として、より広く応用できる可能性を提案することにより、④他の教材への波及も図る。さらには、国際学会でこの教材やシステム(試作版)について報告することにより、⑤海外への発信を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
作業班の構成員の見直しに伴い、打ち合わせなどにかかる旅費が増加する可能性がある。教材作成が本格化するにつれて、資料整理などの作業量が増して人件費や謝金が増加することも想定される。国内外での研究成果の発表が増えることが予想される。独自開発したシステム(試作版)の改良に関する費用は改良する内容により増減すると予想されるが、前年度からの繰り越しを有効に利用して、予算内に収められると考えている。
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