研究課題/領域番号 |
23659271
|
研究機関 | 東京工科大学 |
研究代表者 |
木浦 千夏子 東京工科大学, 医療保健学部, 助教 (00583907)
|
研究分担者 |
梅津 光生 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (90132927)
銭 逸 東京工科大学, 医療保健学部, 教授 (80389147)
井上 信幸 北里大学, 医学部, 助教 (90365122)
入澤 友輔 北里大学, 医学部, 助教 (00525537)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
キーワード | 人工血管 / 評価基準 / 大動脈弓部モデル / 血流配分 / CFD |
研究概要 |
脳動脈瘤破裂メカニズムの解明で注目されている早稲田大学の生体流体解析モデル(Hemodynamic model)を人工血管置換術などにおける適正な人工血管の評価の領域に応用し、弓部大動脈(アーチグラフト)置換術をコンピュータシミュレーション(Computation Fluid Dynamics, CFD)することにより、人工血管の評価基準を提案することが本研究の目的である。本研究により「臨床に直接貢献できるアーチグラフト評価法の血流シミュレーションシステム」を構築し、「医療レギュラトリーサイエンス」の観点から評価基準を提案する。平成23年度は、人工血管置換後の上行大動脈から下行大動脈までの基礎モデルを作成し、各分岐に流れる血流配分を検討した。血流配分の検討を行うためには、境界条件の決定および基礎モデルの妥当性の評価を行わなければならない。そこで、4分岐管置換後の形状をモデル化し、境界条件の検討を行った。4分岐管置換後のモデル形状は、大動脈は一般的なサイズである24mmとし、腕頭動脈、左総頸動脈、左鎖骨下動脈については人工血管の径と同じとして、PC-MRIによる血流配分と一致する出口境界条件を検討した。出口境界条件は、腕頭動脈、左総頸動脈、左鎖骨下動脈は同じとし、下行大動脈側出口圧を変更したところPC-MRIと一致する出口境界条件が見つかった。また、下行大動脈側出口圧と血流配分の関係が確認できた。境界条件が決定できたことで、CFDにおける血流シミュレーションシステム構築に大きく前進した。今後、モデルの妥当性を評価するために臨床における血流配分データを取得し、人工血管の評価基準の検討を行う予定である。さらに、2010年2月に一部変更により承認された3分岐管を生体に植え込んだ後の血管形状をモデル化し、4分岐管との比較を行う予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ソフトを使用するにあたりライセンス認証がなされるが、早稲田大学からのネットワークが断線することがあり、ソフトが使用できない時間があったため。また、臨床データを取得するために医療側からの要求事項を満たすのが困難であったため。
|
今後の研究の推進方策 |
ソフトのライセンス認証などのトラブルが起こっても研究に支障がないように本学単独で解析を行えるような設備を整えることを考える。臨床データ取得については、他施設に協力を依頼する可能性がある。
|
次年度の研究費の使用計画 |
当初、平成23年度にワークステーションを購入する予定だったが、すでに所有していたワークステーションおよびソフトを活用したため繰越金が多くなった。ワークステーションおよびソフトは平成24年度まで早稲田大学から借用可能であるため、平成25年度にワークステーションおよびソフトを購入する予定である。ただし、今年度ライセンス認証などのトラブルが多かったため、場合によっては、ワークステーションおよびソフトの購入時期を早める可能性がある。なお、ワークステーションおよびソフトの購入予算は150万円程度を予定している。臨床データ取得については、医療側の要求が困難でない施設に変更する可能性がある。
|