研究課題/領域番号 |
23659271
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研究機関 | 東京工科大学 |
研究代表者 |
木浦 千夏子 東京工科大学, 医療保健学部, 助教 (00583907)
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研究分担者 |
梅津 光生 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (90132927)
銭 逸 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (80389147)
井上 信幸 北里大学, 医学部, 助教 (90365122)
入澤 友輔 北里大学, 医学部, 助教 (00525537)
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キーワード | 人工血管 / 評価基準 / 大動脈弓部モデル / 血流配分 / CFD |
研究概要 |
脳動脈瘤破裂メカニズムの解明で注目されている早稲田大学の生体流体解析モデル(Hemodynamic model)を人工血管置換術などにおける適正な人工血管の評価の領域に応用し、弓部大動脈(アーチグラフト)置換術をコンピュータシミュレーション(Computation Fluid Dynamics, CFD)することにより、人工血管の評価基準を提案することが本研究の目的である。本研究により「臨床に直接貢献できるアーチグラフト評価法の血流シミュレーションシステム」を構築し、「医療レギュラトリーサイエンス」の観点から評価基準を提案する。 平成23年度は、人工血管置換後を単純化した基礎モデルを作成し、CFDにおける血流配分を求める解析手法を検討した。 平成24年度は、生体の大動脈の血流配分の調査およびCFD解析手法の確立を目標とした。健常人および大動脈瘤患者の血流をPC-MRIにより計測し、血流配分を求めた。下行大動脈の血流配分は、健常人では70%~77%、大動脈瘤患者では67%~72%であった。基礎モデルにより健常人および大動脈瘤患者の血流配分に合う境界条件を探った。下行大動脈の出口圧と弓部3分岐の出口圧の差を、健常人では0.4~0.9mmHg、大動脈瘤患者では0.2~0.3mmHgとすることで、PC-MRIから得られる血流配分とCFDから求まる血流配分が一致した。基礎モデルでは0.2~0.6mmHgの出口圧差により血流配分が求まった。この値は健常人および大動脈瘤患者と同程度であり、この出口圧差を設定する境界条件は妥当であると考えCFDの解析手法として採用した。なお、出口圧差の値の妥当性は、今後症例数を増やし確認する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年度、ネットワーク断線などによりソフトウェアの使用が不可能な時間が多く解析が思った以上に進まなかったが、その点が改善されたため解析が進み、前年度遅れていた分を取り戻すことができた。 生体の大血管画像からモデルを構築し、PC-MRIから求めた血流配分とCFDから求めた血流配分とが一致する解析条件が見つかった。また、生体の大血管は個体差が大きいため、血管形状を単純なモデルで作成し、生体モデルと同様の解析手法で血流配分を求めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
大動脈瘤患者はより複雑な血管形状であるため、モデルを構築するソフトウェアの技術力の取得が必要であるため、講習会などを受講する予定である。また、生体の血流配分のデータ収集が必要であり、場合によっては、共同研究先以外にも協力を依頼する可能性がある。
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次年度の研究費の使用計画 |
24年度ワークステーションを購入した。血流解析用ソフトウェアも購入する必要があったが、早稲田大学から借用したため繰越金が生じた。今後、データ処理用のPCと大動脈の血流配分を計測するための血流プローブを購入する予定がある。また、モデル構築のための講習会などに参加する予定がある。
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