現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初の目的は癌細胞の正常細胞化のメカニズム証明であり、創薬開発ではない。学術的検討として、特に治療抵抗性癌細胞ほどiPS化しやすいのではないかということであった。肝癌、膵癌、甲状腺癌、多形性膠芽腫、線維肉腫など未分化型がん細胞株または肉腫細胞株で行い、iPS様細胞への変化を認めたため、当該マイクロRNAは、この現象を誘導するがん化に本質的な生体分子であると認識された。 現在、miR-520dの標的遺伝子のうち、ELAVL2, TEAD1, GATAD2BのsiRNAを用いてin vitroだけでなく、in vivoで幹性誘導をもたらす条件を最適化している。 この2年間、当該科研費(挑戦的萌芽研究基金)の恩恵を受けているけれども、遂行するための資金として、足りないところは他の予算を充当している。効果につく試薬は本助成金では購入できないからである。 目標の1/3は達成していると自己評価している。当初5年間でin vivo検討もメカニズム解析も行う予定であったが、気持ちの続く限り継続していく。
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次年度の研究費の使用計画 |
低分化腫瘍を治癒出来る可能性をもつ生体分子を用いて、前臨床試験レベルの検討までを実施予定とする。 in vitro:ではhsa-miR-520dおよび標的候補遺伝子を用た検討。1.多能性マーカー,癌幹細胞マーカー評価,導入後の細胞をタイムラプス撮影,導入細胞の増殖曲線, FACS解析,分化状態の評価, 2. 分化誘導能すなわち幹性獲得の発現解析(トランスクリプト-ム、メタボローム), 3. 他の標的候補遺伝子を証明するためのルシフェラーゼ解析, miRNA array, Mircoarray, 4. In vivo導入のための520dのアデノウイルスベクターへのレトロフィット, メチレーション初期化レベルの評価、初期化条件の最適化の検討 再生医療への応用を見据えた作製効率の向上、分化誘導(神経、心筋、骨芽細胞、脂肪細胞、膵細胞等)、遺伝子発現プロフィールを転写及び翻訳レベルの比較検討, 5. 新規DDSを目指したexosome及びラクトソ-ムによるin vitro評価, 6. 520dの標的候補遺伝子ELAVL2, TEAD1, GATAD2Bの阻害薬の探索、siRNAや阻害薬を用いたiPS化及び分化誘導検証 他の標的候補遺伝子の阻害薬の探索およびiPS化及び分化誘導検証, 7. iPS細胞へのmiR-520d導入による腫瘍形成抑制化の検討(再生医療への応用) in vivo:臨床前試験を実施し導入方法の検討。1. GFP陽性感染細胞をxenograftモデルで腫瘍形成能の評価、細胞生物学的多能性評価 , 2. 標識核酸を用いた薬物動態、毒性評価など臨床薬理学的評価, 3. Exosome(ex vivo)及びアテロコラーゲンやラクトソームをDDSとした実用性(治療的効果、予防的効果)の検討 , 4. 多様な癌腫での増殖抑制形態、毒性、催奇形性に関する評価, 免疫組織学的評価
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