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2013 年度 実績報告書

癌形質を消失させるマイクロRNA群の薬物応用への試み

研究課題

研究課題/領域番号 23659285
研究機関鳥取大学

研究代表者

三浦 典正  鳥取大学, 医学部, 准教授 (30325005)

キーワードmiRNA / 癌 / メチル化 / 幹細胞 / 正常化
研究概要

癌を正常細胞化させることはできない。それが常識であった。しかし画像診断上、「治療経過中に腫瘍が徐々に消失していく。」このような治療が夢ではないのではないかと、実感している。miR-520dを低分化あるいは未分化な癌細胞株に導入することで酷似した現象を確認し、xenograftモデルで幹性誘導機序で癌形質抑制能があることを見出した。この分子生物学的な特徴は、多能性マーカーと癌抑制遺伝子(P53)が高発現すること、脱メチル化遺伝子AID(AICDA)が強く抑制されていることである。また導入癌細胞が免疫不全マウスにおいて奇形腫や派生正常組織に変化することからiPSCや間質性幹細胞へと転換されたことを示唆している。この成果を1月に発表した(Scientific Reports, 2014)。
この現象は、「hiPSC生成メカニズムの解明と癌の良性化または正常細胞化が現実に可能であり、相互にリンクしていること」を示唆している。miR-520d, ELAVL2は未分化癌を発生由来細胞へ回帰させ、悪性形質を喪失させる特徴を持ち、治療へ応用すれば、癌細胞が元の正常細胞へ形質転換する世界に類を見ない画期的な生体分子である。
正常細胞に関しては、導入された線維芽細胞、血管内皮細胞、角化細胞、扁平上皮細胞は、免疫不全マウスにおいて造腫瘍性を有しないため、がん細胞(特に癌幹細胞)に劇的な効果が期待できることも重要な特徴である。
当該miRNAである520dは標的として3種の遺伝子を同定した。メカニズム解析では、DNAレベル、RNAレベル、メタボローム解析を行った。レンチウイルスによる導入後5日目の癌細胞の脱メチル化誘導に因り、メタボロームネットワークのサイレンシングが連動して起こり、iPSレベルまで脱メチル化する。この誘導が本現象の根幹にあることを明らかにしえた。遺伝子異常に関してはまだ実施できていない。今後はメカニズムの解明に傾注する。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2014 2013 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (3件) 産業財産権 (3件) (うち外国 1件)

  • [雑誌論文] Hsa-miR-520d induces hepatoma cells to form normal liver tissues2014

    • 著者名/発表者名
      Satoshi Tsuno, Xinhui Wang, Kohei Shomori, Junichi Hasegawa, Norimasa Miura
    • 雑誌名

      Scientific Reports

      巻: 4 ページ: 3852

    • DOI

      10.1038/srep03852

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Human RGM249-derived small RNAs potentially regulate tumor malignancy.2013

    • 著者名/発表者名
      Miura N, Shimizu M, Shinoda W, Tsuno S, Sato R, Wang X, Jo J, Tabata Y, Hasegawa J.
    • 雑誌名

      Nucleic Acid Therapeutics

      巻: 23(5) ページ: 332-343

    • DOI

      10.1089/nat.2013.0424

    • 査読あり
  • [学会発表] microRNA単独導入による癌の幹性誘導に関するミトコンドリア機能解析

    • 著者名/発表者名
      津野智史、銭衛斌、長谷川純一、三浦典正
    • 学会等名
      国際バイオEXPO
    • 発表場所
      東京ビッグサイト
  • [学会発表] Reversion of undifferentiated hepatoma cells to pluripotent cells by hsa-miR-520d and a candidate of targeted genes

    • 著者名/発表者名
      Tsuno S, Miura N, Hasegawa J
    • 学会等名
      第72回日本癌学会学術集会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜
  • [学会発表] 脱分化誘導作用を有するマイクロRNAのトランスレーショナル癌研究.

    • 著者名/発表者名
      三浦典正、津野智史、長谷川純一
    • 学会等名
      第34回日本臨床薬理学会学術総会
    • 発表場所
      東京国際フォーラム
  • [産業財産権] 細胞のアンチエイジングに関連する生体分子群2013

    • 発明者名
      三浦典正
    • 権利者名
      三浦典正
    • 産業財産権種類
      特許
    • 産業財産権番号
      特願2013-177763
    • 出願年月日
      2013-08-29
  • [産業財産権] 新規の脱分化誘導方法を用いた多能性幹細胞化2013

    • 発明者名
      三浦典正
    • 権利者名
      三浦典正
    • 産業財産権種類
      特許
    • 産業財産権番号
      PCT/JP2013/82399
    • 出願年月日
      2013-12-02
    • 外国
  • [産業財産権] miRNA導入による新規hiPSC作製法2013

    • 発明者名
      三浦典正
    • 権利者名
      三浦典正
    • 産業財産権種類
      特許
    • 産業財産権番号
      特願2013- 264240
    • 出願年月日
      2013-12-20

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公開日: 2015-05-28  

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