研究課題/領域番号 |
23659290
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
高見 秀樹 弘前大学, 保健学研究科, 教授 (10226920)
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研究分担者 |
玉井 佳子 弘前大学, 医学部附属病院, 講師 (10322934)
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キーワード | 臨床 |
研究概要 |
本研究に必要なヒト血小板膜GPIbに対するマウスモノクローナル抗体(HU-12)を十分量精製し、本研究に必要な抗体を凍結乾燥後保存した。 本抗体の特徴を明らかにするため、各種血小板刺激物質(ADP, コラーゲン, リストセチン等)でのHU-12の血小板膜への結合を刺激前後で比較したが、刺激前後でHU-12の結合には有意な変化はみられなかった。その一方ずり応力刺激によるHU-12の血小板膜への結合を検討した結果では、HU-12の結合が有意に高いことが証明された。 これらの結果より高ずり応力により血小板膜上のGPIbに何らかの構造変化が生じ、HU-12はそのGPIbの立体構造変化部位を認識するモノクローナル抗体であることが強く示唆され、高ずり応力が関与する血栓性疾患における活性化血小板検出マーカーとしての有用性期待される。 つぎに高ずり応力がその病態に強く関与すると考えられる血栓性疾患での臨床例での検討を行った。対象として心筋梗塞急性期3例、腹部大動脈2例とし、患者より静脈血を採血後ホルマリン固定し、HU-12の血小板膜への結合をフローサイトメトリー法にて検討した。コントロールとして年齢、性別の一致した健常者の血液を用いた。心筋梗塞急性期(発症2時間以内)の3例ともコントロールに比し有意のHU-12の血小板膜への結合の増加がみられ、この増加は既知の活性化血小板マーカーのひとつであるPAC-1より明らかに強いことが証明された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究遂行に必要な十分量のHU-12を精製・保存することができた。またHU-12が高ずり応力刺激血小板に有意に結合することをあきらかにした。 また臨床例(心筋梗塞急性期)での活性化血小板検出マーカーとしてのHU-12の有用性をあきらかにした。
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今後の研究の推進方策 |
アテローム性動脈硬化症基盤とする動脈血栓症の対象症例を増やしてHU-12の活性化血小板マーカーとしての有用性をあきらかにする。対象疾患として心筋梗塞急性期以外に脳梗塞急性期、血管病変を有する糖尿病を加え、症例数を増やして検討する予定である。 また抗血小板薬投与例での検討も行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
予定より効率的に抗体の精製が可能であったため当該研究費が生じた。 次年度では当初の計画より症例数を増やし、さらに臨床応用が可能な活性化血小板検出キットの開発のために研究費を使用する計画である。
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