研究概要 |
これまで以下のことが確認または解明された。うち8)~10)は平成25年度に行われた。1)日本人の殆どは赤血球上に数種類のケモカインと結合するダフィー抗原(DARC)を発現する。2)アレルギー性炎症などに関与するケモカインRANTESは赤血球内に多量に存在する。3)RANTES溶液中に赤血球を入れるとRANTESは速やかに取り込まれる。4)赤血球内RANTESは赤血球膜機能の低下あるいは崩壊によって血球外に漏出する。5)赤血球内にはRANTESの他、DARC親和性のEotaxin, MCP-1が蓄積されている。一方、DARCに親和性のないIL-1β、TNF-αは蓄積していない。6)DARCの発現強度には個人差がある。7)赤血球上のDARCの発現強度はRANTES添加培養液内では低下する。8)赤血球は老化に伴いDARC発現量および密度が低下する。9)赤血球の老化に伴い発現が低下するとされているCD47はDARC発現の低下を伴う。10)赤血球膜機能は蓄積したケモカインの保持に重要と考えられるが、それは浸透圧変化、pH変化に影響を受ける。本研究を発展させる研究手技として、フローサイトメトリーによる赤血球膜機能評価法を開発した。上記結果については、国際学会ASCPaLM(2012)、日本臨床化学会年次学術集会(2013)等で発表した。また、開発した赤血球膜機能評価手技については、Journal of Laboratory Automation (2014)に掲載した。本研究の概要については日本臨床化学会東北支部会誌に発表した。下に記した今後残された解明事項の検討を待って英文誌に発表の予定である。 <今後の解明事項> 1)DARC発現とRANTES,Eotaxin,MCP-1取り込みの関連。2)慢性炎症マーカーとしての赤血球内ケモカインの有意性。4)赤血球上のDARC発現コントロール因子。
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