研究課題
これまでに開発した感染症病原体に対するメタゲノミック診断システムに適用するため、核酸抽出前の段階において「ウイルス粒子の分離精製・検出」ステップを加え、より高感度かつ再現性の高い網羅的ウイルスゲノム検出システムを構築するシステムを開発することを研究課題としている。本研究では、核酸抽出前のステップにおける技術革新を目指し、フィールドフローフラクショネーション(FFF)を用いたウイルス粒子の精製試験を行った。その結果、FFFと光散乱検出器を用いることにより、発育卵しょう尿液中のインフルエンザウイルス粒子画分を検出し、精製することが可能であり、臨床検体中のウイルス粒子の検出、精製技術の確立に向けた基礎データを得ることができた。しかしながら、上記の機器は高額であり、Point of careあるいは臨床/検査への応用については課題が残された。一方、インフルエンザウイルスを細胞あるいは発育鶏卵で培養し、その培養上清、しょう尿液をハイドロキシアパタイト担体にロードしてウイルスを吸着させ、リン酸ナトリウムバッファーで溶出することが可能であった。この結果から、ハイドロキシアパタイトクロマトグラフィーは多種多様のウイルスを吸着溶出させて精製に用いることが可能であると考えられた。ハイドロキシアパタイトを基盤としたウイルスの精製・濃縮技術は臨床現場における簡易なウイルス診断キットへの応用が期待できる。
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