研究概要 |
23年度は生体におけるTTRの存在形式を様々な観点から明らかにすることと、2.様々な存在形式のTTR がもつ抗原性を明らかにすることに加えて、3.様々なTTRペプチドも合成し、患者血清や髄液中にこれらに反応する抗体が存在するかも検討した。具体的には以下の如くTTRの存在形式(脱重合蛋白質、細胞外分泌エクソゾーム、ペプチド断片、脂質結合)に着目し検討した。【脱重合蛋白質】一度重合し線維化したアミロイド前駆蛋白質も、脱重合を生じることが判明している。FAP患者とSSA患者の組織から水抽出法でアミロイド線維を抽出・精製し、尿素、SDS、DMSOなどの変性剤と共にインキュベーションし、可溶化した脱重合TTR を回収し、変異型と野生型TTR の存在比率を解析したところ50-60%の割合で変異型TTRが含有されていた。また多くのサンプルで断片化されたTTR が証明された。【細胞外分泌エクソゾーム】細胞外での蛋白質の存在形式の一つとして、細胞から放出されたエクソゾーム内のものが免疫や腫瘍の分野で特に注目されている。そこでFAPやSSA 患者などの血清、髄液などを用いて、超遠心法で細胞外分泌エクソゾームを分離・精製し、TTRが存在するか、イムノブロットや質量分析法(SELDI-TOF MS など)で解析した。解析の結果、確かに上記サンプル内のエキソソームにTTRが存在していることが確認された。また人工的にTTR断片ペプチド(TTR1-10,11-20,21-30,24-35,31-40,41-50,51-60,61-70,71-80,81-90,91-100,96-106,105-115,111-120,115-124,119-127)を合成し、各ペプチドと反応するTTRサンプルを検討したところ、31-40,105-115のペプチドに対して明らかな反応性が認められた。
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