研究課題/領域番号 |
23659303
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
安東 由喜雄 熊本大学, 生命科学研究部(医), 教授 (20253742)
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研究分担者 |
大林 光念 熊本大学, 医学部附属病院, 特任教授 (90361899)
城野 博史 熊本大学, 医学部附属病院, 准教授 (40515483)
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キーワード | ミスフォールディング病 / トランスサイレチン / アミロイドーシス / ミスフォールディング / 自己抗体 / エピトープ / 家族性アミロイドポリニューロパチー / 遺伝子変異 |
研究概要 |
本年は、家族性アミロイドポリニューロパチー(FAP ATTR V30M)患者の血清中に存在する異型TTR(ATTR V30M)に対する自己抗体を同定し、これら自己抗体の存在とFAPの発症年齢や症状進行との関連、更には本自己抗体が認識するエピトープを検討した。 方法は、(1)リコンビナントATTR V30Mを抗原とするELISA測定系を確立し、日本人FAP ATTR V30M患者25名(28~72歳)、日本人ATTR V30M遺伝子キャリア4名(26~32歳)、及びスウェーデン人FAP ATTR V30M患者8名(67~81歳)の血中抗ATTR V30M抗体の有無を検討した。(2)様々なTTRフラグメントペプチドを抗原とするELISA測定系を確立し、抗ATTR V30M抗体が認識するエピトープについて検討した。(3)抗ATTR V30M抗体が認識するエピトープの部位による各対象者の年齢やFAPの発症年齢、罹病期間の違いも検討した。 結果、日本人患者3名、スウェーデン人患者8名の計11名で、抗ATTR V30M抗体陽性と考えられた。又、この8名は全て高齢発症であった。ELISA法による検討の結果、抗ATTR V30M抗体が認識するエピトープとして、ATTR24-35、およびATTR105-115が候補に挙った。この内、ATTR24-35を認識する抗ATTR V30M抗体を持つと考えられた患者10名で、血中抗ATTR V30M抗体レベルと発症年齢との間に強い正の相関を認めた(r=0.833、p<0.05)。これらの所見は、FAP ATTR V30M患者の症状の進行、あるいは同一の遺伝子変異を持ち乍、発症年齢の異なる群が存在する理由を説明しうる一つの材料となり、又、今回同定したエピトープは、FAP ATTR V30Mの新規抗体治療を開発していく上での一つのターゲットとなる可能性がある。
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