研究課題/領域番号 |
23659304
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研究機関 | 文京学院大学 |
研究代表者 |
元藤 陽子 文京学院大学, 保健医療学部, 助手 (00458556)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | モノクローナル抗体 / リン酸化蛋白質 / 腫瘍検査 / プロテオーム / 血液悪性腫瘍 |
研究概要 |
血液悪性腫瘍細胞中のリン酸化蛋白質の発現にも腫瘍毎に特徴があり、それを検討することにより腫瘍の同定、浸潤、抗がん剤の奏功や予後の推定について情報が得られる可能性があると考えた。そこで血液悪性腫瘍細胞内の出来るだけ多くのリン酸化蛋白質を網羅的に検出するシステム構築のために、ヒト白血病細胞株から精製したリン酸化蛋白質画分に対するモノクローナル抗体を作製し、それらモノクローナル抗体を用いてヒト白血病細胞株3種12株のリン酸化蛋白質発現プロファイルを検討した。その結果、51種類の抗体で血液腫瘍細胞株を腫瘍種毎に明確に分類することに成功した。 しかし、平成24年に投稿した論文(アクセプト済み)および申請者の学位論文(博士・理学)の審査の中で、今後の研究方法に重大な変更をもたらすコメントがレビューアおよび審査員からあった。そのコメントは本研究の核となる正準判別分析については了承されたが、その基礎データとなるモノクローナル抗体のヒト白血病細胞株との反応性、および使用する細胞株の詳細な性状決定を行うことを強く要求されたため、それらに対応することにした。 また当初の計画どおり、腫瘍組織の免疫組織染色および抗リン酸化蛋白質モノクローナル抗体の特異性の同定も実施した。腫瘍組織の免疫組織染色では、全600種の抗リン酸化蛋白質モノクローナル抗体と数種類の腫瘍組織を用いて免疫組織染色を実施した。また、抗リン酸化蛋白質モノクローナル抗体の特異性の同定では、免疫沈降法と二次元電気泳動法を組み合わせた特異性の同定方法の条件を完成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成23年度の当初の検討事項の4項目のうち、2項目の研究が実施された。まず、第一項目目の「腫瘍患者組織・細胞の抗リン酸化蛋白質モノクローナル抗体との反応性の検討」では腫瘍組織について、全600種の抗リン酸化蛋白質モノクローナル抗体による免疫組織染色を実施した。次に、第二項目目の「抗リン酸化蛋白質モノクローナル抗体の特異性の同定」では免疫沈降法と二次元電気泳動法を組み合わせた特異性の同定方法の条件を完成した。 また平成23年度の実施内容を一部変更した内容として、反応の強度をグレードとして示さず、「陽性」と「陰性」のみとし、それぞれを「1」と「0」として表すことに変更した。それに伴い正準判別分析の再計算を実施した。さらに、抗リン酸化蛋白質モノクローナル抗体と白血病細胞株の反応性を正確に分類するために白血病細胞株の表面抗原、遺伝子、染色体型や薬剤耐性などを検討し、詳細に分類するための計画を策定し、その一部を実施した。 以上のことから、当初の予定実施項目に加えて追加した検討項目があることを考慮すると達成度は「やや遅れている」と考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
抗リン酸化蛋白質モノクローナル抗体と白血病細胞株の反応性からリン酸化蛋白質発現プロファイルを正確に分類するために、白血病細胞株の表面抗原、遺伝子、染色体型や薬剤耐性などを検討することから、検討事項が当初の計画より増加した。この検討項目の完全実施に努力したい。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成23年度において大学経理との連絡が十分でなく、研究費の使用開始が大幅に遅れたことにより、平成23年度の研究費70万円ほどが繰り越された。今後は大学経理と十分連絡を取り、研究実施に支障が無いよう配慮する。 また、当初の予定より検討項目を増やしたことから、平成24年度に予定していた人件費・謝金を物品費にあて、追加検討項目に必要な試薬・物品等を購入する予定である。
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