研究課題
疾患特異的な翻訳後修飾やプロテアーゼによる切断、スプライシング異常等のタンパク質の状態変化(ここでは「変異」と記述する)が様々な点で疾患に関与していることは明らかである。そこで、本研究では、独自の前処理技術と最先端の質量分析技術を組み合わせて、血清中の任意のタンパク質の変異を網羅的に分析する方法の開発を目指した。定量分析用質量分析計 (三連四重極質量分析計)を用いたSRM (Selected Reaction Monitoring)法によって、当初目的としていたアポリポプロテインA-Iとトランスサイレチンについて、全配列の中で分析可能なアミノ酸の90%以上の酵素消化ペプチドの存在量を定量分析する方法の確立に成功した。この方法を用いて健常者血清中の両タンパク質の分析を行った結果、各部分が定量解析できていることを確認した。ただ、この方法では長期間安定した分析を行うためには安定同位体標識タンパク質が必要であるが、この安定同位体標識タンパク質の調製は費用と期間の両面から全てのタンパク質に利用することは困難である。そこで、本研究目的であるタンパク質の状態変異をさらに幅広いタンパク質に応用するため、新たな方法として、安定同位体標識法(ジメチル標識法)を用いた方法の確立を試みた。当研究室で開発した血清タンパク質の分画抽出法(Serum Fraction法:SF法)による血清タンパク分画物SF1, SF2に対してジメチル標識法を適応して、腎細胞癌患者血清中のタンパク質の状態変化の分析を試みた。その結果、同じタンパク質にもかかわらずSF1, SF2の両方で現れているタンパク質の中の5種類のタンパク質が手術に伴って異なる変動をしていることがわかった。
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