研究課題/領域番号 |
23659307
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
鈴木 隆 昭和大学, 医学部, 教授 (60118958)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 自然気胸 / ボイスレコーダー / 聴診 / 周波数解析 |
研究概要 |
種々の気胸症例の胸壁から呼吸音、副雑音(空気漏れの音を含む)を採取している。聴診器のチューブを切断しその断端にマイクロフォンをはめ込みこれを胸壁にあてているがこの手技が安定してきた。すなわち音の記録には以前に購入したソニーのボイスレコーダーとケンツメディコ社のトレーニングマスターを比較しているが、前者の方が呼吸音、副雑音を保存するのに適しておりもっぱらこれを用いている。さらにソニーのボイスレコーダーを用いることによって予想した以上に明瞭な呼吸音、副雑音が記録されることが判明した。そのため気胸に関連する副雑音だけでなく種々の呼吸器疾患の肺音の研究に使用できることが推測される。ただ記録できるチャンネル数が少なく胸壁の複数個所から採取した音声の強度の比較に用いるのには適していない。別なシステムが必要である。空気漏れの音の採取できた症例数がまだ少ないためにいまだ周波数解析を行っていない。したがって解析のFFTアナライザも購入していない。今後空気漏れ音の記録数を増やして近い将来周波数解析の作業を行いたいと考えている。 研究者が人事異動により同じ大学の別の附属病院へ勤務することになった。このため輸血センターへ自己血からフィブリン糊を作成する作業に支障をきたしている。フィブリン糊作成が順調に進むには年余の時間を要する可能性が大きくなった。したがって申請した研究のフィブリン糊の散布の治療結果をあと1年で出すことは困難な状況である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
大学内の異動があり勤務体制が変わった。そのために自然気胸症例を前の施設に比べ直接に診療する機会が減少したことが一因として挙げられる。 また同じように異動により輸血センターとのコンタクトが減り自己血からフィブリン糊を作成してもらうことが困難になった。
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今後の研究の推進方策 |
ソニーのボイスレコーダが肺音の記録に優れていることが判明したので、当初申請の自然気胸の空気漏れ音の研究にとどまらず、広い意味での肺音研究に発展が期待される。この分野の研究は医学教育の基礎的なスキルとしての聴診器による診断学の再発展につながる可能性がある。 また従来の肺音の記録システムに比してソニーのボイスレコーダは使用法が簡単でパソコンへでの情報の保存が簡便なので、同一症例(特に間質性肺炎や慢性閉塞性肺疾患症例)の経時的な変化を比較するのに有用である。これに周波数解析を加えれば、現在用いている呼気中のNOガスの測定やピークフロー測定と同様に呼吸器内科的疾患の病状の推移の把握に有用な可能性がある。
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次年度の研究費の使用計画 |
自然気胸症例の副雑音としての空気漏れ音の収集、周波数解析のテータを蓄積する。さらに種々の関連呼吸器疾患症例の副雑音も収集する。
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