研究課題/領域番号 |
23659308
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
伊藤 寛晃 昭和大学, 医学部, 講師 (70443447)
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研究分担者 |
木村 聡 昭和大学, 医学部, 准教授 (30255765)
井上 晴洋 昭和大学, 医学部, 教授 (90280966)
工藤 進英 昭和大学, 医学部, 教授 (70161643)
山洞 典正 昭和大学, 医学部, 兼任講師 (50602116)
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キーワード | 循環癌細胞 / ゲノムDNA / 胃癌 / 網羅的遺伝子解析 / 次世代シークエンサー |
研究概要 |
臨床研究に参加同意が得られた胃癌患者65例を対象に、治療前・治療後に末梢静脈血を採血した。テロメラーゼ特異的ウイルス製剤を用いて高テロメラーゼ活性循環癌細胞を検出した。検出循環癌細胞数と短期予後が有意に相関することを示し、学術雑誌に発表した(Prognostic impact of detecting viable circulating tumour cells in gastric cancer patients using a telomerase-specific viral agent: a prospective study. BMC Cancer. 2012; 12:346)。その後、継続して経過観察中、長期予後との相関を確認中である。 さらに、検出した循環癌細胞の生細胞採取を行い、whole genome amplificationにより、循環癌細胞ゲノムDNAの増幅抽出に成功した。胃癌組織、正常胃粘膜からもゲノムDNAを抽出し、次世代シークエンサーによる網羅的遺伝子解析を行ったが、ゲノムDNAの点変異に相同性は見られなかった。現在、なるべく無修飾のまま採取できる新たな循環癌細胞採取法を開発中である。 また、腫瘍特異的免疫細胞と推測される血球細胞を見出し、機能を解析中である。加えて、癌患者血漿中微量癌関連物質の検出法の検出方法の確立にも取り組んでおり、循環癌細胞・腫瘍特異的免疫細胞・微量癌関連物質の総合的解析による包括的癌診療システムの確立を目指して研究を推進した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の計画は、3年間の研究期間で、胃癌患者血液中から循環癌細胞を検出し、病期・予後との相関を検討、血液検体のみによる病状評価、治療効果判定の方法を確立することであった。2年目で研究目的を達成、さらに循環癌細胞の採取とゲノムDNAの増幅抽出、さらに網羅的遺伝子解析まで行った。現在、研究費が枯渇しているためさらなる研究の推進は一時中断し、本研究参加患者の経過観察を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
胃癌患者において末梢血中循環癌細胞を検出、予後との相関を解析し、さらに循環癌細胞、胃癌組織、正常胃粘膜ゲノムDNAの網羅的遺伝子解析を行った。また、腫瘍特異的免疫細胞、癌患者血漿中微量癌関連物質の総合的解析による包括的癌診療システムの確立を目指して研究を推進しているが、予算の関係により新たな大型の研究の実施は困難な状況である。よって、多額の研究費を必要としない、既存機器を利用した解析や、本研究参加者の予後調査を中心に研究を進め、循環癌細胞の機能解析、ならびに長期予後との関係を確認する。
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次年度の研究費の使用計画 |
循環癌細胞の機能解析に必要な試薬・抗体の購入費用、学術論文掲載料に使用予定。
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