研究課題
異なったmRNA分子がスプライシングの過程で互いに融合して新しい遺伝子が生まれるトランス・スプライシングという現象が存在するが、この現象が哺乳類にも存在することが明らかにされてきており注目されている。しかし、トランス・スプライシング遺伝子を発見する系統的な方法論が欠如していることから、哺乳類におけるトランス・スプライシングを受ける遺伝子(以下、トランス・スプライシング遺伝子)の発見は散発的にとどまっている。そこで、トランス・スプライシング遺伝子を発見する新規のシステムとして、cDNAライブラリーに特異配列アダプター付加し特異配列前後の酵素処理による2段階環状化で単分子環状化DNAのみを作成する方法を開発した。さらに本システムを精錬し、新たに特異配列並置アダプター法を開発し、また改良アダプターとして固有配列および4カ所のEcoRIサイトを有するアダプターを導入することで2段階環状化を完全に遂行することを可能とした。既存の融合遺伝子を有する細胞株を対象に本システムの実証実験を行い、体系的なトランス・スプライシング遺伝子の探索・発見を行う新たな基盤技術の確立に成功した。本システムによるトランス・スプライシング遺伝子のスクリーニングを開始し、ヒト造血幹細胞の刺激時のcDNAライブラリーからトランス・スプライシング遺伝子候補を発見することに成功している。現在、各候補の精査を行うとともに、神経系細胞におけるトランス・スプライシング遺伝子のスクリーニングを始めている。今後さらに研究を継続し、トランス・スプライシング遺伝子群の生成・変化を包括的に捉える、“fusion transcriptome” という新しい遺伝子検査分野を確立していく。
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