研究課題/領域番号 |
23659315
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
齋藤 繁 群馬大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (40251110)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 虚血 / 神経再生 / 栄養因子 / 心機能 |
研究概要 |
最新3D-CT画像と重粒子線を用いた高精度神経ブロック法の開発を行った。また、脳虚血の予防法を体外からの非侵襲的手法に依って判定する技術の開発改良を実施した。実験モデルとして、脳虚血モデルにおいて栄養因子およびその拮抗物質を段階的に用いることにより、gliosisを予防しつつ、神経回路網再構築促進を図れる可能性があることに着目した。今回の研究では、まず神経細胞系の細胞を培養し、栄養因子に対する経時的な反応を観察した。同時にin vitroでの複数の因子への同時暴露に対して、細胞がどう反応するかを観察し、神経障害性刺激に対する対抗的反応も同定した。次に時間、空間限定的に障害物質、栄養因子を順次作用させ、gliaの増殖を抑えつつ、神経細胞の再生機能促進ならびにその後の成熟を促進させる条件を決定した。脳虚血が生じた場合に、その程度を如何に軽度にとどめ、早期に回復を促進するかについて分析して、生活習慣病として広く社会において罹病率の高い疾患にフォーカスを当て研究した。その結果、臨床の現場においては、予防的な対策が採れる場合は限定的であるので、予め、リスクの高い集団を特定する技術は有効と考えられた。第一に糖尿病に対しては血糖の至適域へのコントロールの重要性が確認され、第二に薬物動態と心機能との関連を理解することが重要であることも確認された。以上のことにより、虚血を含む生命予後に大きな影響を与えるイベントの防止には生理学的な状況との乖離の是正が受容であることが分った。また、再生を誘導する環境を整えるためにも同様の配慮が必要であるということが解明された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画に従い、神経細胞の機能維持、増殖機能を保持のための環境要因の重要性を基礎実験と臨床例の双方からアプローチできている。しかしながら、対象とする神経細胞の由来や時期により、相反するような結果も出ており、今回の研究では、臨床への応用が可能な因子との相関をみることで、治療への応用可能性を検討できた。
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今後の研究の推進方策 |
脳虚血モデルにおいて栄養因子およびその拮抗物質を段階的に用いることにより、gliosisを予防しつつ、神経回路網再構築促進を図れる可能性を更に深く検討する。今回の研究では、まず神経細胞系の細胞を培養し、栄養因子に対する経時的な反応を観察したが、今後は臨床場面に近い、ある時相から急激に環境が切り替わるようなモデルを検討する予定である。培養細胞での実験結果が確定した後には、臨床での合併症を持つ患者でのリスクファクターを同定し、臨床応用する際の測定項目の妥当性とその制御法を検討する方針である。
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次年度の研究費の使用計画 |
実験試薬に200,000円と実験動物に300,000円支出予定。
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