研究課題/領域番号 |
23659321
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研究機関 | 奥羽大学 |
研究代表者 |
古山 昭 奥羽大学, 歯学部, 助教 (80364454)
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研究分担者 |
齋藤 茂 大学共同利用機関法人自然科学研究機構(共通施設), 岡崎統合バイオサイエンスセンター, 特任助教 (50422069)
磯野 邦夫 東北大学, (連合)農学研究科(研究院), 産学連携研究員 (70124550)
増澤 徹 茨城大学, 工学部, 教授 (40199691)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 痛覚受容体 / 機械刺激 / カエル / ショウジョウバエ / 味覚 |
研究概要 |
1.カプサイシン皮下注射による機械刺激閾値の低下を、ウシガエルだけでなくアフリカツメガエル、ネッタイメガエルでも確認した。2.エンハンサートラップ系統Tre-gal4を用いたGal4-UAS法により、味覚器(糖受容器)に任意の遺伝子を発現させる方法が確立され、味覚情報伝達機構の研究が進められている。本研究ではこの手法を応用し、糖受容器に機械刺激受容体を発現させ、このニューロンを機械的に刺激することにより機械刺激受容体の活性化に必要な刺激強度、周波数などを詳細に検討することを目的とする。そのために、まず分子特性の究明が進められつつあるマウスTRPV4受容体をショウジョウバエ味覚神経に発現させ、RT-PCRにより、導入されたマウスTRPV4遺伝子が転写されていることを確認した。さらに、マウスTRPV4の適刺激でショウジョウバエ味覚神経を刺激した。しかし、マウスTRPV4の適刺激による味覚神経の興奮は見いだされなかった。3.刺激周波数、刺激強度を精密にコントロールできる微小機械刺激装置の開発を行った。ピエゾ素子を用いて、機械刺激プローブ先端を200nM~1μMの振幅で、100~1000Hzで駆動できるよう、調整した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
ネッタイツメガエルのcDNAから、カプサイシン感受性機械刺激受容体遺伝子を機能的にスクリーニングするには、培養細胞に遺伝子を導入し、カプサイシンに対する反応をカルシウムイメージングで測定する過程が不可欠である。しかしながら、齋藤と古山で分業の意思統一が不十分だったため、培養細胞を用いた機能的スクリーニング実験を行うことができなかった。ショウジョウバエ味覚神経にマウスTRPV4遺伝子を発現させることができたが、マウスTRPV4の特異的リガンドや温度刺激による味神経の興奮は認められず、機能的な発現は成功しなかった。
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今後の研究の推進方策 |
培養細胞を用いたスクリーニング実験が困難であるので、戦略を転換する。まず、機械刺激受容体タンパク質として近年注目を集めている膜タンパク質piezoをカエルにおいてクローニングする。カエルpiezoをツメガエル卵母細胞に強制発現させ、カエルpiezoのカプサイシン感受性や機械刺激(浸透圧ショック)に対する反応などを解析する。さらに、機械刺激受容体のカプサイシンとの親和性を手がかりに、磁気ビーズを用いたアフィニティ精製法により受容体タンパク質の精製を行い、カエルの侵害性機械刺激受容体の同定を目指す。既にショウジョウバエ味細胞での機能的発現が確かめられているショウジョウバエTRPA1遺伝子の5'末端をマウスTRPV4に結合したキメラ遺伝子を作成し、ショウジョウバエに導入することによりショウジョウバエ味覚神経におけるマウスTRPV4の機能的発現を目指す。
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次年度の研究費の使用計画 |
カエルpiezoのクローニング用の試薬を購入する。タンパク質精製に用いる試薬も購入する。
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