研究課題/領域番号 |
23659322
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研究機関 | 関西医科大学 |
研究代表者 |
伊藤 誠二 関西医科大学, 医学部, 教授 (80201325)
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研究分担者 |
松村 伸治 関西医科大学, 医学部, 講師 (70276393)
西田 和彦 関西医科大学, 医学部, 助教 (80448026)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | ゲートコントロール説 / 多光子励起顕微鏡 / 脊髄 / 一次求心性線維 / グルタミン酸受容体 / 遺伝子改変マウス / 炎症モデル / 刺激応答 |
研究概要 |
皮膚感覚は一次求心性線維を介して脊髄後角に伝達され、侵害刺激は閾値をこえると脊髄視床路を経由して大脳皮質で痛覚として認識される。これまでMelzackとWall (Science, 150:971, 1965)が提唱した膠様質(SG)の興奮性、抑制性2種類のシナプス結合の総和による痛みのゲートコントロール説が受け入れられてきた。脊髄後角I-V層は一次求心性線維、投射ニューロン、介在ニューロン、下行性抑制ニューロンが複雑に絡み合った神経回路網を形成する。本研究の目的は、1)神経回路網を可視化できるレポーターマウスを用いて多光子励起顕微鏡下に神経回路網を構成するニューロン群をリアルタイムにイメージングしてゲートコントロール説を実証すること、2)疼痛モデルで脊髄後角の神経回路網の変調を解析し、中枢性感作機構を解明することである。 平成23年度は、蛍光顕微鏡下でThy1-YFPマウスで炎症モデルを作製し、脊髄後角、特に膠様質に局在するYFP発現細胞の細胞の形態を検討した。一次求心性線維の中枢端は興奮性神経伝達物質グルタミン酸を遊離して、脊髄2次ニューロン上のNMDA受容体を活性化してCa2+濃度を上昇させて皮膚刺激の信号を伝達する。形態変化がグルタミン酸受容体拮抗薬で抑制されることを明らかにした。次にCa2+濃度変化感受性タンパクの発現コンストラクトを作製し、そのコンストラクトを脊髄後角に導入・発現させたマウスで発現条件、発現細胞を解析し、末梢からの刺激で応答する細胞があることをあきらかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
末梢からの刺激に応答する細胞を検出できている。炎症モデルでの神経回路網の変化の形態学的解析ができた。Ca2+濃度による刺激応答反応をとることができた。
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今後の研究の推進方策 |
興奮性、抑制性ニューロン特異的レポーターマウスを作製するために、コンストラクトとトランスジェニックマウスの作製を計画し、痛覚伝達における脊髄後角の細胞の役割を明らかにする。
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次年度の研究費の使用計画 |
発現ベクター作製のため、DNA関連試薬、動物行動、刺激応答反応実験のため実験動物、その他一般試薬、ディスポ器具が必要となる。
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