研究課題
皮膚感覚は一次求心性線維を介して脊髄後角に伝達され、侵害刺激の閾値をこえると大脳皮質で痛覚として認識される。脊髄後角は入力、介在ニューロン、出力系が複雑に絡み合った神経回路網を形成する。脊髄の皮膚感覚入力他の4感と同様、系統発生学的には下等動物にも存在し、大脳皮質の高次脳機能に関与する神経回路網に比して原始的である。最近、大脳では多光子励起顕微鏡によるin vivoイメージングにより様々なモデル動物を用いて神経機能、神経回路網の解析が進んでいるが、脳脊髄液に浮遊している脊髄は呼吸、拍動のため、脊髄後角のin vivoイメージングに成功していなかった。本研究の目的は、1)神経回路網を可視化できるレポーターマウスを用いて多光子励起顕微鏡下に神経回路網を構成するニューロン群をリアルタイムにイメージングすること、2)疼痛モデルで脊髄後角の神経回路網の変調を解析し、中枢性感作機構を解明することを通じて、1965年に提唱された脊髄後角の痛覚伝達に関するゲートコントロール説を実証することである。本研究では、形態変化を追跡する神経組織特異的に蛍光タンパクを発現するthy1-YFPマウス、皮膚刺激に応答する機能解析を行うためにCa2+インジケータータンパクを子宮内遺伝子導入により作製を行った。長時間In vivoイメージングを行うため、麻酔下でマウスを空中に固定、オーダーメイドのクランプで椎骨の固定、寒天による脊髄の固定等検討して、まずin vivoイメージング系を確立した。多光子励起顕微鏡下でレポーターマウスに侵害性、非侵害性刺激を加えて同時に最大100個の神経細胞の応答を記録することが可能となった。今後、脊髄後角の神経回路網をイメージングしてゲートコントロール説を実証する準備ができた段階にあり、興奮性、抑制性ニューロン特異的レポーターマウスを作製し、検証する予定である。
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European Journal of Neuroscience
巻: 39 ページ: 720-729
10.1111/ejn.12436
http://www3.kmu.ac.jp/medchem/index.html