研究概要 |
① 第一級アルコールが炭素鎖長依存的にTRPA1を活性化して痛みを惹起することを、Ca2+イメージング法、パッチクランプ法、マウス(野生型マウスとTRPA1欠損マウス)の行動解析法明らかにし、C8OHが最も活性化能が強いことがわかった。この作用はTRPA1に特異的であった。この第一級アルコールの作用に関わるアミノ酸を点変異体解析で同定した。また、亜鉛がTRPA1活性化に関わることを見いだした。 ② ワサビに含まれる2つのisothiocyanate成分6-(methylsulfinyl)hexyl isothiocyanate (6-MSITC) と6-(methylthio)hexyl isothiocyanate (6-MTITC)がTRPA1を活性化することを、Ca2+イメージング法、パッチクランプ法を用いて明らかにした。加えてその疼痛惹起作用を野生型マウスとTRPA1欠損マウスの行動解析から個体レベルで明らかにした。 ③自然に存在する鎮痛薬を探索する目的で、TRPM8を活性化してTRPA1に作用しない物質をフレグランスオイルでスクリーニングし、eucalyptus oilを見いだした。eucalyptus oil に含まれる1,8-cineoleがそうした性質をもつ物質であることが明らかになった。また、1,8-cineoleはTRPA1を阻害することが分かり、鎮痛薬として理想的であることが判明した。さらに、この1,8-cineoleの鎮痛作用をヒトの皮膚での実験で証明した。
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