研究概要 |
1群12匹、4群の雄ウィスターラットを0、400、800、1000ppmの1-ブロモプロパンに、一日8時間、週7日、1週曝露した。もうひとつの4群のラットを、最初の2週間は0,400、800、1000ppm、引き続く2週間は0,200,400ppmの1-ブロモプロパンに曝露した。曝露終了時に5-bromo-2'-deoxy-uridine(BrdU)を腹腔注射し、歯状回において増殖する神経数を計測することで神経新生に対する1-ブロモプロパンの影響を調べた。神経新生と関係する因子として、モノアミンレベル、brain-derived neurotropic factor(BDNF)とglucocorticoid receptor(GR)のmRNAレベルを脳の様々な部位で計測した。BrdU陽性細胞は、4週間曝露の最高濃度群で有意に減少していた。800ppmと1000ppmの1-ブロモプロパンに1週間曝露された群ではノルアドレナリンレベルが線条体で有意に減少していた。4週間曝露の最高濃度群では、海馬、前頭皮質、線条体においてノルアドレナリンレベルが減少していた。1-ブロモプロパンは、海馬におけるBDNFおよびGRのmRNAレベルを低下させた。1-ブロモプロパンへの4週間曝露が歯状回における神経新生を抑制することが本研究によって明らかとなった。BDNFとGRのmRNAの低下と、海馬における低ノルアドレナリンレベルは、神経新生の減少に少なくとも部分的に貢献していると考えられる。
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