研究課題
48匹のF344雄ラットを日本クレアから購入し、1週間馴化の後、名古屋大学医学部動物実験施設に設置された小動物用有機溶剤曝露装置を用いて、1-ブロモプロパン0、200、400、800ppmに一日8時間、週5日、4週間吸入曝露した。曝露終了時に麻酔下で頭蓋骨と第一頸椎の間に注射針を挿入し、脳脊髄液を採取した。すみやかに脳を剖出し、脈絡叢を採取するとともに、大脳皮質、海馬、小脳、中脳に切り分け、急速凍結保存を行った。Transthyretinの免疫組織染色を行うとともに、ELISAを用いて血漿中、脳脊髄液中の遊離triiodothyronine, thyroxineを測定した。その結果、血漿中遊離triiodothyronineは変化せず、thyroxineが減少した。甲状腺ホルモンはニューロン新生を促進することが知られており、本研究結果は1-ブロモプロパンによるニューロン新生減少に甲状腺ホルモンが関与している可能性を示した。また、我々のこれまでの研究で、1-ブロモプロパンがノルアドレナリン神経線維を減少させることが分かっているが、ノルアドレナリン神経線維に甲状腺が集まってくるとの研究報告もあり、1-ブロモプロパンによるノルアドレナリン神経線維変性作用において甲状腺ホルモンが重要な役割を果たしている可能性も示唆された。一方Transthyretinは、脳内甲状腺ホルモン輸送に貢献するとともに、甲状腺ホルモン減少が脱髄を促進することがわかっていることから、1-ブロモプロパンによるヒト脳MRI上での脱髄様所見を説明する可能性が考えられたが、少なくとも免疫組織的なレベルでは曝露による顕著な変化が見いだせなかった。今後、定量的な方法を用いて同蛋白の動態を調べる必要がある。
すべて 2014 2013 その他
すべて 雑誌論文 (15件) (うち査読あり 14件) 学会発表 (34件) (うち招待講演 4件) 図書 (2件)
Journal of Occupational Health
巻: in press ページ: in press
Ann Occup Hyg
巻: 50 ページ: 103-120
10.1093/annhyg/met055.
Diabetol Metab Syndr
巻: 6 ページ: 8
10.1186/1758-5996-6-8.
Journal of Nanoscience and Nanotechnology
Toxicol Appl Pharmacol
10.1016/j.taap.2014.04.010.
Toxicology
巻: 304 ページ: 76-82
10.1016/j.tox.2012.12.009.
Occup Environ Med
巻: 70 ページ: 508-510
10.1136/oemed-2012-101246
J Occup Health
巻: 55 ページ: 29-38
Clin Exp Pharmacol Physiol
巻: 40 ページ: 443-448
10.1111/1440-1681.12107.
Environ Toxicol
巻: - ページ: -
10.1002/tox.21881.
PLoS One
Exp Toxicol Pathol
巻: 65 ページ: 1173-1182
10.1016/j.etp.2013.05.009.
Circ Cardiovasc Genet
巻: 6 ページ: 569-578
10.1161/CIRCGENETICS.111.000027.
Ind Health
巻: 52 ページ: 54-65
産業医学ジャーナル
巻: 36 ページ: 16-21