研究課題/領域番号 |
23659330
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
谷川 武 愛媛大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80227214)
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研究分担者 |
斉藤 功 愛媛大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (90253781)
櫻井 進 愛媛大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (50375515)
岡 靖哲 愛媛大学, 医学(系)研究科(研究院), その他 (60419025)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 産業衛生 / 睡眠呼吸障害 / 注意力低下 |
研究概要 |
平成23年度は、愛媛県警職員、男性574名、女性20名、計594名について睡眠呼吸障害の調査を実施した。年齢22‐59歳、男性平均41.8歳、女性32.5歳であった。パルスオキシメトリ法により、就寝中に動脈血酸素飽和度(SpO2)の3%以上の低下がみられた回数(3% oxygen desaturation index: 3%ODI)を計測し、睡眠時無呼吸症候群のスクリーニングを行った結果、中等症の睡眠時無呼吸が疑われる者(3%ODI 15‐30回/時間未満)は男性91人(15.9%)、女性は1人(5.0%)、重症の睡眠時無呼吸が疑われる者(3%ODI 30回/時間以上)は男性25人(4.4%)、女性は0人であった。また睡眠中の平均SpO2は男性95.6%、女性97%、日勤、夜勤、当務及び休日それぞれの平均睡眠時間は、男性6.6、3.4、3.3、7.4時間、女性6.3、2.7、3.4、7.9時間、Epworth Sleepiness Scale得点の平均は男性5.5点、女性6.2点であった。客観的覚醒度・注意力を測定する、10分間のPsychomotor Vigilance Task(PVT)検査における、平均反応時間は男性246ミリ秒、女性251ミリ秒、間違って反応した回数は男性0.6回、女性0.9回であった。3%ODIが5回/時間未満、5-15回/時間未満、15回/時間以上の3区分に分け、性・年齢を調整し、PVTの指標、BMI、血圧値、飲酒・喫煙習慣との関連を分析した結果、3%ODI5回/時間未満群に比べ、15回/時間以上のほうが、PVTの平均反応時間、BMI、最高・最低血圧、脈拍、喫煙習慣者の割合について、それぞれ有意に高値を示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
愛媛県警の全面的な協力もあり、対象者数は目標であった600人にほぼ達している。また、データの欠損もほとんどない。睡眠呼吸障害と身体所見などの関係についても、先行研究と一致しており、妥当な結果が得られた。
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今後の研究の推進方策 |
警察官は県の公務員であり、3月に大きな人事異動があるため、対象者情報を収集し整理するのに時間を要するため、現在愛媛県警厚生課に協力を仰いでいる。PSG検査については、検査対象者である重症の睡眠呼吸障害の疑いがある者に対し、研究者が産業医の立場から、健康面だけでなく、仕事のパフォーマンス向上にまで言及し、受診を勧奨する。その際、愛媛県警厚生課からも、検査対象者が受診しやすい病院を紹介する等協力体制を敷き、受診率の向上を目指す。
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次年度の研究費の使用計画 |
本研究では2年間で1000名の調査を目標としているが、平成23年度は警察官という緊急性を常に伴う職種を対象にしているため、柔軟に対応できるよう、初年度で1000名調査をできる体制を整えるため予算として、人件費や物品費を計上した。実際に、平成23年度は当該年度目標数の約600名に対し調査を行った。次年度使用額及び平成24年度に請求する研究費は、平成24年度調査予定の残り約400名の調査に必要な人件費・物品費として使用する。
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