研究概要 |
我々は新たに開発したガス発生装置を応用し滅菌器機としての効能が期待される自己触媒反応型メタノールガス発生装置の吸排気系改良を行い、より安定した庫内ガス濃度発生(ガス濃度のモニター)を行うことが可能となり、小型ガス滅菌評価機器(Biovector®(整理番号12T13SX01)として商標登録を行った)並びに小型チャンバー実験環境を整備した。(特許出願済み;特願2012-062880)この試験環境のなか、指標菌ならびに核酸分子(DNA,RNA)に対する滅菌・分解能の効能評価を行った。37~50℃、60分間の暴露時間では全ての対象菌に於いて106の菌量で完全な無菌化が認められた。Bioanalyzerを用いた核酸分解能評価のいてはdsDNA並びにssDNA共に、湿性、乾性のどちらの条件下においても600~30,000ngの核酸試料に対し30分の暴露時間で10bp以下の完全分解効果が確認された。この核酸分解能は、温度依存性であることも明らかになった(50>45>37℃)。real time-PCR法を用いた検討では、RNA, ssDNAともに37℃、15分の暴露時間にて完全分解効果が確認できた。マイコプラズマ菌を用いた本機の効能試験をreal time-PCR法による検討を行った結果、特異的増幅を認めず一定の有効性が確認されたが、反応阻害物質の存在・影響が示唆された。以上のことから本研究期間に於いて、新規ガス滅菌技術により従来では達成できなかった核酸分解能を有する滅菌器機の応用が可能となったことから、今後腐食性・残留性を含めた生物学的安全性評価を行い医療機器への応用を検討する。
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