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2012 年度 実施状況報告書

生きているが培養できない菌(VBNC)の検出法開発と食品衛生に及ぼす影響

研究課題

研究課題/領域番号 23659334
研究機関福島県立医科大学

研究代表者

錫谷 達夫  福島県立医科大学, 医学部, 教授 (40196895)

研究分担者 鳥羽 衛  福島県立医科大学, 医学部, 助手 (20443864)
キーワード食品衛生 / 細菌性食中毒
研究概要

堺市の学校給食で起きた腸管出血性大腸菌のアウトブレークのように、食材から原因菌を検出できない食中毒が多々報告されている。このような食中毒に生きているが培養できない菌(Viable but not culturable; VBNC)が関与しているのではないかと考えられている。そこで本研究では、環境中の大腸菌モデルとして、低温の水に大腸菌を浮遊させて長期間保管し、培養できる菌の減少を継時的に追った。まず、保存する温度を4℃と20℃で比較したところ、4℃の方が早期に培養できる菌が消失したので、以下の実験は4℃で行った。この条件で水に浮遊させた約1000,000 cfu の大腸菌は、LB培地など一般的に用いられている寒天培地では105日の保存で検出できなくなったが、液体培地やLB培地による混釈培養法では147日まで検出できた。培養表面が乾燥しない培養法を用いることによっておよそ100倍の感度で菌を検出できることがわかり、寒天培地でVBNCと考えられてきた菌はまだ培養できる菌であることが分かった。液体培地でも培養できる菌がいなくなった菌液をピルビン酸などの添加によって培養効率を高めたR2A培地で培養したが、やはりコロニーは形成されなかった。代謝活性がある菌のみを染色するCTC染色を行ったところ、コロニーを形成しなくなった菌液中に染色される菌は検出できなかった。この結果は対照実験として行った腸炎ビブリオでは培養できなくなっても大多数がCTCで染まることとは大きく異なっており、大腸菌の場合はただ単に死滅している可能性が示唆された。しかし、わずかにVBNCが存在している可能性は否定できないため、最終年度に動物を使って腸内で培養できる形に戻る菌が存在しないか否かを確かめる計画である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初計画した研究内容はおおむね実行できている。ただ、大腸菌が VBNC になると予想し、計画した研究であったため、その計画は変更せざるを得なくなった。そこで、マウスやウサギの腸内で培養できる形に戻る菌が存在するか否かを確かめる計画を新たに立て、最終年度に行う計画である。この実験により既に大腸菌がVBNC になると報告している過去の研究の真偽を確かめたい。

今後の研究の推進方策

動物を用いて培養できる菌がいなくなった菌液中に腸内で培養できる形に戻れる、つまりVBNC がいるか否かを検証する。

次年度の研究費の使用計画

上記の動物実験を行うため動物の購入費を含めた物品費として700千円、成果報告のための学会出張旅費として200千円、論文出版や報告書の印刷費として200千円使う予定である。

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公開日: 2014-07-24  

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