研究課題/領域番号 |
23659338
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研究機関 | 藤田保健衛生大学 |
研究代表者 |
守口 匡子 藤田保健衛生大学, 医学部, 講師 (60298528)
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キーワード | 交叉反応性抗体 / ヒト型抗ノロウイルス抗体 / ヒトノロウイルス / 組織-血液型抗原 / 中和抗体 / ファージ抗体 |
研究概要 |
本研究は、バキュロウイルス発現系を用いて作製したヒトノロウイルス(HuNoV)の人工ウイルス様空粒子(VLP)を抗原に用い、ヒト型ファージ抗体ライブラリーから多数の抗HuNoV抗体を単離し、受動免疫による予防・治療法や、簡便なウイルス検出キットを開発すること、さらには、それら抗体が認識するウイルス構造タンパク質上のエピトープを同定し、HuNoVワクチン設計を試みることを目的としている。 平成24年度には、交付申請書の研究実施計画・平成24年度に記載した①、②の実験を試み、結果を得ることが出来た。即ち、12A2(GII/4株特異的抗体)、12B10(GII内交叉反応性抗体)、CV-1A1(GI/4特異的抗体)、CV-1A5(GI-GII間交叉反応性抗体)に、ウイルスリセプター候補分子である組織-血液型抗原に対する、VLP吸着阻害活性があること、従って、これら4抗体が中和活性を有する可能性があることを見出した(②)。また、様々な年齢の健常者血清に、HuNoV VLPと抗HuNoVファージ抗体との吸着を阻害する効果があることが判明し、我々がライブラリーから単離した抗HuNoV抗体と同じタイプの抗体が、実際にヒト生体内で感染防御に関わっている可能性が高いことを示唆する結果を得た(①)。③(HuNoVとMNVとのキメラウイルスを用いた中和活性の確認、ならびに、中和の作用機序解明)に関しては、これを行うにあたり解決せねばならない問題、即ち、研究実施計画・平成23年度の③(抗体が認識するウイルス構造タンパク質上のエピトープを同定)の結果が得られないままである為、遂行することが出来なかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究実績の概要で述べた通り、本年度の研究計画①、②、③のうち、遂行できたのは①と②のみである為、(3)やや遅れているとした。
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今後の研究の推進方策 |
平成23年度より滞っている、「抗体が認識するウイルス構造タンパク質上のエピトープを同定する(エピトープマッピング)」の遂行を第一目標と定め、ぜひとも解決したいと考えている。 平成24年度までに、ウイルス構造タンパク質VP1をサブドメイン毎に6分割し、大腸菌による発現系を用いて、GST融合タンパク質として発現させた。これらレコンビナント融合タンパク質を精製の後に抗原として用い、ELISAを行ってエピトープマッピングを試みて来た。しかし、1)抗原の発現量が少ないサブドメインがある、2)ELISAのバックシグナルが高くなる、等の不具合があり、解析を進めることが出来なかった。そこで、融合タンパク質をSUMOに変更することとした。現在、コンストラクトはほぼ完成しており、平成25年度には、大腸菌にトランスフォーメーションしてレコンビナントタンパク質の発現・精製を行える状況にある。25年度早々に、上記1)や2)の問題解決を試み、ELISAの系を確立してエピトープマッピングを遂行する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度に計上した経費には、GST融合タンパク質の大量発現、大量精製、更には、キメラウイルス作製やエピトープマッピングに必用な試薬、および、プラスチック消耗品の購入に充てる予定の金額も含まれていたが、実験系の不具合が発覚し、その解決策を探っていた為に、ほとんど使用すること無く年度を終了した。その経費を、平成25年度にSUMO融合タンパク質の大量発現、大量精製、ならびに、ELISAを中心としたエピトープマッピング実験に必用な試薬や消耗品の購入に充てる。
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