研究概要 |
環境と子どもの健康に関する北海道スタディに参加している8才児に対し、Conners3日本語版(ADHD関連症状調査票)とADHD-RSなどについて調査を行い、環境因子の行動発達への影響を明らかにする。さらにConners3日本語版の総合評価指標の得点上位5%をケースとして、性・年齢をマッチした対照群と比較し、ADHDリスク遺伝子の多型とADHDの環境(喫煙)遺伝子多型交互作用を考慮した発症メカニズムを明らかにすることを目的としている。今年度の実績は次の通りである。 (1)大規模出生コホート(20,940名登録)に参加し、平成24年度8歳に達した児2,171名の養育者に調査票を送付した。ADHD関連症状はConners3日本語版、ADHD-RSを用いアウトカムとし、生活環境要因の情報を収集した。児の健康状態、睡眠時間、遊びの性向(PSAI)、メディア接触時間、養育環境(HOME)、両親の喫煙状況、経済状態、ライフイベントについて尋ね、1,192名から回収した(回収率55%)。 (2)既に実施した胎児期のベースライン調査および喫煙曝露指標(コチニン濃度)、葉酸濃度のデータを連結し、環境要因がADHD発症に及ぼすリスクの大きさを評価した。目的である曝露物質測定として、コチニン値は妊娠後期母体血で16,980件、葉酸値は妊娠初期母体血で20,181件の測定を終了した。 (3)ADHD疑い群8名、対照群24名について、発達障害の鑑別のため、児認知能(WISC-IV)と行動評価スクリーニング(CBCL)について対面調査を実施した。 (4)環境遺伝交互作用について検討するため、総説にまとめた。
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