研究概要 |
我々は、様々な生活習慣を同時に有しており、それらが密接に関連しあって、現在あるいは将来の健康状態に影響していると考えられる。本研究は生活習慣間、生活習慣と心理社会的要因との関連性を調べ、生活習慣変容のための効果的・効率的な指導方法を目標としている。研究初年度に、喫煙、身体活動、食事・栄養素摂取、肥満度の4つの生活習慣について検討し、食事・栄養素摂取の状況が悪い者では、身体活動を実施する割合が低く、喫煙習慣を有する者が多いことを示した。今年度は、食事・栄養素摂取と心理社会的要因との関連を分析し、低タンパク質摂取(全エネルギーの16%未満)と入眠困難、熟眠障害、高タンパク質摂取(全エネルギーの19%以上)と中途覚醒、低炭水化物摂取(全エネルギーの50未満)と中途覚醒、の関連を明らかにし、専門誌に報告した(Tanaka E, Yatsuya H, et al., J Epidemiol 2012;23:132-8.)。このことは、不眠症状の病態的な側面だけでなく、食事・栄養素摂取に対する介入にあたっては、睡眠についても考慮したプログラムを開発する必要があることを示唆する結果と考えられた。また、糖尿病の発症に関係する生活習慣について検討し、前糖尿病者において清涼飲料水の摂取が正に関連すること、肥満も喫煙習慣もない者で高感度CRPの血中濃度が正に関連すること(Wang A, Yatsuya H, et al., Diabetes Metab Res Rev 2013)等を明らかにした。
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