研究課題/領域番号 |
23659347
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
大久保 孝義 滋賀医科大学, 医学部, 准教授 (60344652)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 妊娠高血圧 / 降圧薬 / 市販後調査 / 副作用 / 胎児 |
研究概要 |
妊娠高血圧症候群は妊婦の5-10%に認められる。しかしながら、本邦における妊娠高血圧に対する降圧治療の実態、および降圧薬使用の安全性に関する情報は圧倒的に不足しており、わが国独自の妊娠中の降圧薬使用に関する情報蓄積が急務である。 そこで本年度は、既存の妊婦コホート研究(BOSHI研究)および某健康保険組合レセプトデータを用い、2008年1月1日から2010年5月31日までの間に妊娠中で高血圧症関連の診断名(ICD-10中分類:O10-O16)を有する妊婦において降圧薬服用者の割合・服用薬剤の種類を調査した。妊娠期間が不明確な場合は、レセプト内の妊娠週数に関する情報および診療開始日を抽出し、分娩・流産に関連した診断情報および診療行為の記録に基づいて、各妊婦の妊娠期間を推定した。 高血圧症関連の診断名を有する妊婦の28%において、妊娠期間中に降圧薬が処方されていた。最も処方頻度が高かった降圧薬はニフェジピン錠・カプセル(41%)であり、次いでメチルドパ錠(27%)、塩酸ヒドララジン散・錠(22%)の順に処方頻度が高かった。また、利尿薬が33%、レニンアンジオテンシン(RA)系作用薬が3%認められた。 本研究の結果、妊娠高血圧症候群患者に対する降圧薬処方には、各種ガイドライン・FDA の推奨や、本邦の降圧薬の添付文書における記載とのギャップがあることが確認された。次年度以降は、妊娠高血圧患者における妊娠中の一般用医薬品・サプリメントを含む実際の服薬状況の実態をさらに詳細に明らかにし、それらを考慮した解析を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
不足しているわが国の妊娠中の降圧薬使用に関する降圧治療の実態を、種類・用量まで含め明らかとすることができた。よって、おおむね本年度における当初目的は達成できたと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
情報収集を継続し、妊娠期間の医薬品摂取状況統合データベースを作成するとともに、研究成果公表をすすめ、関連学会の推奨等を通じ、医療現場へ還元していきたいと考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
データ収集を継続するとともに、国内外の研究者と討議・情報収集を行ったうえで、研究成果を国内・国際学会での発表、および論文発表にて公表する。これに基づき、学会ガイドラインや医薬品行政への働き掛けを行い、適切な医薬品使用推奨につなげる。
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