研究課題/領域番号 |
23659350
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
梯 正之 広島大学, 保健学研究科, 教授 (80177344)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | がん検診 / 数理モデル / 有効性評価 |
研究概要 |
本研究の目的は,理論疫学手法を用いて乳がん検診の有効性を評価し、さらに、住民及び自治体に対するがん検診の受診行動に関する実態調査から受診率の向上を図る社会的条件を明らかにし、限られた公的資源の中で、住民が乳がん検診を受診する場合の利益を最大化し、不利益を最小化できるがん検診受診モデルを構築することにある。平成23年度においては,がん検診の有効性評価の要になるがん検診の数理モデルを作成し,分析に必要なデータの収集を行うと共に予備的な分析を実施した。がん検診の対象となっているがんの罹患率(年齢別)や早期発見による延命効果に関するデータ(発見時のステージ別5年生存率など)は,検診の有効性を適切に判断する上で重要なものであるが,検診の実施状況(受診率や対象年齢,実施間隔など)の違いによる効果の差を分析するのに必要なものを得ることができた。現在,女性のがんを中心に,いくつかのがんについて検診の実施状況別の効果の分析結果をまとめているところである。当初の計画では,がん検診に関する住民の意識調査・実態調査を実施する予定であったが,調査対象地域との交渉に時間がかかるなど,年度内の実施が困難になり,翌年度(平成24年度)の前半に実施するということで計画を進め,実施を予定している。調査の開始は遅れたが,その分析を集中的・効果的に実施することにより,当初の年限内に研究をまとめ,成果を発表したいと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
前述の通り,本研究の目的は,(1)理論疫学手法を用いて乳がん検診の有効性を評価し、さらに、(2)住民及び自治体に対するがん検診の受診行動に関する実態調査から受診率の向上を図る社会的条件を明らかにし、(3)限られた公的資源の中で、住民が乳がん検診を受診する場合の利益を最大化し、不利益を最小化できるがん検診受診モデルを構築することの3点にある。現在までに,(1)についてほぼ達成し結果をまとめているところである。当初の予定では,(2)までを年度内に実施の予定であったが,調査対象地域との調整の遅れから開始を遅らせざるを得なくなった。調査を翌年度(平成24年度)に実施し(すでに,実施に関して対象自治体の担当者と大筋の合意が取れている),予定通り分析を進めたいと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
上記の通り,翌年度(平成24年度)に,研究目的の(2)および(3)(がん検診の受診行動に関する実態調査と,利益を最大化できるがん検診受診モデルの構築)について研究を実施する。そのため,本年度に使用の予定であった自体調査の費用を繰越し,翌年度に使用することとした。使途については,当初計画した内容を予定している。実態調査の開始が遅れたことにより,分析期間が短くなるが,分析を集中的・効果的に行うことにより,当初の計画通りに研究結果をまとめ,発表したいと考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度から繰越の分(約135万円)は実態調査の費用に充て,翌年度分(直接経費70万円)を成果発表などの旅費ならびに解析等の謝金に充てる予定である。
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