研究課題
一般地域住民における食後の過度の血圧低下は、無症候性ラクナ梗塞のリスク因子となることを明らかにした。血圧変動性の増加は、心血管系イベントのリスクとなることが示唆されている。しかし、老年者において頻回に観察される食後の血圧変動と心血管系疾患リスクとの関連については十分に検討されていない。本研究では、食事性血圧変化と無症候性脳血管障害との関連について検討した。愛媛大学病院で実施している抗加齢ドックを受診した一般地域住民1,190例を対象とした(65±9 歳)。食事性血圧変化は、昼食の直前と30分後に測定した上腕収縮期血圧から求めた。無症候性のラクナ梗塞、側脳室白質病変(PVH)、微小出血は3テスラのMR像から評価した。ラクナ梗塞は対象者の9.2%に観察された。ラクナ梗塞を有するケースでは食事性の血圧低下が有意に大きく、病変の数に比例して増加した(なし -3.3±11.3、1個 -4.8±11.9、2個 -7.9±10. 8、3個以上 -13.5±10.7、p=0.008)。PVHや微小出血と食事性血圧変化とに関連は認められなかった。ラクナ梗塞は、加齢(p<0.001)、食前の血圧高値(p<0.001)、脈波伝播速度で評価した動脈硬化(p<0.001)、頸動脈肥厚(p=0.003)と有意に関連した。また、PVHや微小出血を有するケースでは、ラクナ梗塞が高頻度に観察された(p<0.001)。しかしながら、これらの交絡因子を調整した多変量解析において、食事による血圧低下はラクナ梗塞の独立したリスク因子として抽出された(β=-0.100、p=0.001)。中心血圧も同時に測定し、その食事性変化とラクナ梗塞との関連を検討したが、上腕血圧で評価した場合と差異はなかった。血圧の変化量を指標とした場合は、中心血圧に優位性はない可能性がある。
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J Hypertens.
巻: 32 ページ: 1084-90
10.1097/HJH.0000000000000150