研究課題/領域番号 |
23659359
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研究機関 | 専修大学 |
研究代表者 |
長田 洋和 専修大学, 人間科学部, 教授 (00365842)
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キーワード | 国際情報交換・アメリカ合衆国 / 発達障がい / CU特性 / サイコパシー / 疫学 / 予防 / メンタルヘルス / 非行 |
研究概要 |
当該年度は,昨年度作成した,Inventory of Callous-Unemotional Traits (ICU) の日本語版 (ICU-J) の再度のチェックを行った.全国の小・中学校の教師,ならびに矯正施設の児童,および法務教官へ向けた疫学研究を行うためには,文言のチェックは必要不可欠であり,そのための時間とコストを費やしたことは,意義のある事と言える. ラップトップ型のPCを新たに購入し,統計処理および各調査依頼機関への説明のためのプレゼンテーションを行う用意をしている.また,疫学調査に不可欠な統計処理を行う為のソフトウェア購入も済み,着実に,疫学調査研究の準備が整った. 本研究を行うにあたり,研究代表者は,発達障がいおよび児童・思春期メンタルヘルスを専門領域とするものであるが,疫学調査対象者となる児童は,反社会的問題行動を起こした,あるいは起こす可能性のあるものが含まれているため,Juvinile Justiceの領域の専門知識提供を昨年度は受ける事ができた.当該年度は,提供された専門知識のみならず,研究代表者自身が,当該専門領域に関するリテラシー向上に取り組んだ.関連学会,ワークショップへの出席をはじめ,あらゆる手段を講じて,Juvinile Justiceのリテラシー向上に取り組んだ.目に見える研究業績は出せてはいないが,本研究の成果をまとめるに当たって必要最低限の知識を得たことは,十分に研究実行に対して意義のある事と考える.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当該年度から,本務校で役職教員となり(学科長),本補助金にかかる研究へのエフォートが減少してしまった.本来ならば,当該年度までに進むべき,疫学調査が,翌年度(25年度)にずれ込んでしまっている.そのため,やや遅れているという自己評価である.
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今後の研究の推進方策 |
次年度(平成25年度)は,本補助金による研究の最終年度となる.従って,これまで蓄積してきた知見をまとめ,成果として発表する機会を積極的にもうけることが第一の目標である. それに伴い,本研究のもととなる概念の提唱者である,University of New Orleans のDr. Frickとの国際情報交換を行う事,関連して,国際学会にて研究成果を発表する予定である. 研究成果をまとめるために,疫学調査を行う事が必要であるが,当該年度までにまとめたICU-Jを全国の小・中学校および矯正施設に配布,回収し,データを蓄積したのち,疫学的手法により,一般人口および発達障がいにおけるCU特性の発現率を明らかにする.また,CU特性と親和性の高い,Psychopathyとの比較検討も行いたい.次年度(平成25年度)5月にはアメリカ精神医学会によって,新たな精神疾患の診断と統計マニュアルであるDSM-5が公刊される.その中で,CU特性が素行障害の一類型として挙げられている事に着目し,破壊的行動障がいの疑いがある子ども,あるいは,同障がいを発症するリスクのある子どもの同定を行いことが最大の目的である. 一般人口では,全国の小・中学校の普通学級に在籍する子どものうち,教師から「グレーゾーン」であると思われているもの,あるいは,教師からは疑いがもたれていないが,ICU-Jにより,スクリーニングされた子どもに対して,非行の予防の一助となる情報を開示して行く事ができれば,本研究の目的が達せられるものと考える.
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次年度の研究費の使用計画 |
疫学調査を行う際の郵送代(往復の封筒,切手代金),および,関連機関への謝礼金,国際情報交換における通信費,および,専門知識提供者への謝金,交通費,学会発表費が予定される.
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