研究課題/領域番号 |
23659360
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
佐野 浩斎 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (20408404)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 地域調査研究 / 高齢者 / 境界型糖尿病 / 網膜病変 |
研究概要 |
町立津南病院の人間ドックを受診した津南町在住の40歳以上の対象者と町立津南病院の内科外来を受診したもののうち40歳以上の対象者において、可能な限り糖代謝異常およびその他の生活習慣病に関する身体所見や血液生化学的検査項目を測定した。同時に眼底検査の施行し、網膜病変の有無を確認した。網膜病変を認める症例にはその所見を具体的に確認した。本年度にデータベースを作成した町立津南病院の人間ドックを受診した津南町在住の対象者は平成22年4月から平成23年3月までに受診した748名(平均年齢65.3±9.4歳(AV±SD))で男女別では男性460名(65.0±9.6歳)、女性288名(66.0±9.2歳)であった。そのうち65歳以上の高齢者は408名(54.5%)(72.4±5.3歳)で、男性238名(51.7%)(72.6±5.4歳)女性170名(59.0%)(72.2±5.1歳)であった。本年度に町立津南病院の内科外来を受診したもののうち、現時点でデータベースを作成中の40歳以上の対象者は879名(76.4±11.3歳)で、男女別ではそれぞれ男性408名(75.0±11.0歳) 女性471名(77.6±11.5歳)であった。そのうち65歳以上の高齢者は726名(82.6%)(80.4±7.5歳)で、男性328名(80.4%)(79.2±7.2歳)女性398名(84.5%)(81.3±7.7歳)であった。意義としては高齢者群とそれ以外の年齢群との比較検討をおこなうなど、年齢別の層別解析を施行することにより、高齢者群の特徴を検討できる。津南町内で唯一の病院である町立津南病院で得られる患者情報は増やすほど一地域の医療情報を偏りなく得られる可能性が高くなるため、今後もデータベースに集積する情報数を増やすことが重要と考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成22年4月から平成23年3月までに町立津南病院の人間ドックを受診した津南町在住の40歳以上の対象者748名に関して、糖代謝異常およびその他の生活習慣病に関する身体所見や各種検査項目を確認した。眼底検査を施行し、眼科医により眼底所見を確認した。データベースへの入力は紙媒体を経由して定期的に行ない、確認した情報をすべてデータベース化した。町立津南病院の内科外来を受診したもののうち40歳以上の対象者879名においても、可能な限り糖代謝異常およびその他の生活習慣病に関する身体所見と各種検査項目を確認し、可能な限り眼底検査を施行し、眼科医により眼底所見を確認した。対象症例において経口ブドウ糖負荷試験を施行した症例を確認し、その情報をデータベースに集積することも開始した。津南町在住の40歳以上の住民を対象にしており、人間ドックを受診した対象者748名(男性460名/女性288名)と病院外来を受診した対象者879名(男性408名/女性471名)に関する情報を現在までにデータベースとして作成した。病院外来と人間ドックの両方を受診していた対象者が90名(男性53名/女性37名)いたことを考慮すると、データベース上では津南町在住の40歳以上の対象者としては1537名(男性815名/女性722名)(うち65歳以上の対象者としては1065名(69.3%)(男性527名/女性538名))の情報を集積している。町立津南病院の人間ドックの受診数および外来患者数を考えると、調査開始1年目としてはおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年4月より平成25年3月まで町立津南病院の内科外来を受診したものと、平成23年度(平成23年4月から平成24年3月まで)に実施された町立津南病院の人間ドックの受診者から、本研究の対象者を新規にリクルートする。新規の対象者が確認されるたびに、リクルートされた対象者に関する各種情報を確認し、新たな対象者に関する各種情報を取り入れたデータベースを作成していく。具体的には、本年度に引き続き、新たな津南町在住の40歳以上の対象者を確認し、可能な限り糖代謝異常およびその他の生活習慣病に関する身体所見と各種検査項目を確認する。対象者に可能な限り眼底検査を施行し、眼科医が眼底所見を確認する。確認された対象者に関する情報は紙媒体を経由して、担当研究者もしくは担当研究者に依頼された入力作業員がデータに入力する作業を定期的に継続していく。境界領域の糖代謝異常の抽出には、可能な限り経口ブドウ糖負荷試験を施行することに加え、空腹時血糖値を測定し空腹時血糖異常(IFG)も抽出する。HbA1c値による分類でも境界領域の糖代謝異常を抽出する。対象症例が2000例程度となったところでデータの中間解析を開始する。中間解析は集積された対象症例を、高齢者群とそれ以外の年齢群との比較検討をおこなうなど、年齢別の層別解析を施行することにより、高齢者群の網膜病変の特徴を検討する。さらに網膜病変を男女別、各種の糖代謝異常別にも層別解析して検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
新たな対象者をリクルートするための町立津南病院の人間ドックは平成24年度(平成24年4月から平成25年3月まで)も実施される予定である。すでに実施された平成23年度(平成23年4月から平成24年3月まで)の町立津南病院の人間ドックの受診者から、本研究の対象者を新規にリクルートしながら、平成24年4月から平成25年3月にかけて町立津南病院の内科外来を受診した患者の中でも新たな津南町在住の40歳以上の対象者をリクルートし、糖代謝異常およびその他の生活習慣病に関する各種検査項目の測定をおこなう。本年度はリクルートされた対象者数を考慮したところ、必要とした血液検査や尿検査などに用いた検査キットの購入金額が想定より少ない金額となった。次年度も必要とする、一部の血清脂質分析試薬、一般血液検査試薬、尿分析試薬に関して、測定キットの購入のために、次年度の研究費を使用する予定である。現時点では次年度も尿中アルブミン排泄量測定のための測定キットを購入することを予定している。次年度もリクルートした対象者から得た情報を紙媒体より定期的にデータベースに入力する。本年度に引き続き、データベースへの定期的な入力をおこなう研究支援者としての入力作業員を雇うための雇用費としても、次年度の研究費を使用する予定である。次年度はデータベースに入力するためのデータがとても多くなることが予想されるため、複数の入力作業員を雇用する可能性もある。データベースの長期的な管理にはデータベースをデジタル媒体だけではなく、紙媒体として管理することも重要である。データベースを紙媒体として管理することも継続するため、その整理目的に紙媒体および整理文具などを購入する。紙媒体および整理文具などの購入にも次年度の研究費を使用する。具体的にはA4版、B4版、A3版などの用紙や各種バインダーなどを購入することを予定している。
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