糖代謝状態が確認された40歳以上の1752名(年齢66.8±12.0歳(AV±SD))男性913名/女性839名から、境界型糖尿病の可能性が高い群として、糖尿病治療を受けていないHbA1c(JDS値)5.2-6.4%の対象者1075名(男性530名/女性545名)を抽出した。65歳以上は644名(年齢74.9±7.1歳)男性278名/女性366名であった。網膜状態が確認された622名において網膜病変は95症例(15.3%)に認められた。網膜病変は網膜上膜17例、高血圧性眼底もしくは高血圧性網膜症13例、網膜出血13例、網膜萎縮13例、黄斑変性8例、網膜血管硬化症7例、網膜静脈閉塞症7例、ドルーゼン4例、網膜毛細血管瘤3例、黄斑円孔3例、白斑3例、網膜剥離2例、糖尿病網膜症1例、網膜動脈閉塞症1例であった。65歳以上での網膜病変は15.3%に認められ、40-64歳での網膜病変が8.4%に認められたことに比べると有意に(P<0.01)多かった。網膜病変に影響を及ぼした背景因子に関する年齢別の検討では、40-64歳では収縮期血圧が網膜病変有の群の方が無の群に比べて(収縮期血圧:網膜病変有群131.4±19.8mmHg(AV±SD)vs 無群121.4±18.2mmHg)有意に(P<0.01)高く、65歳以上ではBody Mass Index(BMI)が網膜病変有の群の方が無の群に比べて(BMI:網膜病変有群23.3±2.9(AV±SD)vs 無群22.6±2.9)有意に(P<0.05)高かった。多変量解析では65歳以上の網膜病変に収縮期血圧が有意に(P<0.05)関連していた。境界型糖尿病では、65歳以上の網膜病変は40-64歳に比べると多く、40-64歳の網膜病変には収縮期血圧が関連し、65歳以上の高齢者の網膜病変には収縮期血圧とBMIが関連している可能性が示唆された。
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