研究課題/領域番号 |
23659364
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研究機関 | 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所) |
研究代表者 |
新開 省二 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究部長 (60171063)
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研究分担者 |
戸田 年総 横浜市立大学, 先端医科学研究センター, 教授 (80133635)
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キーワード | β2ミクログロブリン / 分子修飾 / 臨床疫学的意義 / 高齢者 |
研究概要 |
血清中の分子修飾されたβ2-Microglobulin(β2-M)の検出法は、これまで質量分析法を用いて酸素1分子が添加されたβ2-Mの有無とその血中濃度を調べてきたが、その他のアプローチもある。例えば、透析性アミロイドーシスではβ2-Mは重合体を形成する。一方、アミロイドーシス未発症者では重合はあまり進んでいない。重合を形成するかどうかは、血中β2-Mの濃度の高低に必ずしも依存しない。重合体を形成するにはβ2-Mが何らかの変性を受ける必要があると考えられ、変性β2-Mの構造解析と測定法の開発が急務である。こうした観点から、変性β2-Mの測定法の開発に取り組んでいる研究者と共同研究を行い、分子修飾β2-Mの測定法の確立に生かそうとした。しかし、アプローチした研究者は本来業務が多忙で、意見交換のみに終わった。そこで変性β2-Mの臨床疫学的意義の解明は将来の課題として残し、現在の手技で測定される血清β2-M濃度の臨床疫学的意義のさらなる解明を目指した。一般高齢者1,023人を10年間追跡し、総死亡303例[がん74、循環器疾患115(うち脳卒中57、心疾患55、大動脈疾患3)、その他102例、不明12例]を特定した。ベースライン時の血清β2-M濃度により三分位に分け、どの疾患死亡との関連が深いかを調べたところ、β2-Mの下位三分位(濃度が最も低い)に比べた上位三分位(濃度が最も高い)の多変量調整済リスク比は、がんで1.27(95%信頼区間:0.59-2.76)、循環器疾患で3.31(1.62-6.76)、その他で3.16(1.62-6.17)であり、循環器疾患との関連が強かった。うち脳卒中とは4.58(1.59-13.2)、心疾患とは2.02(0.74-5.51)であり、脳卒中死亡との関連が極めて強いことがわかった。血清β2-Mは脳卒中死亡の新たなリスクマーカーである。
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