研究概要 |
GMP(guanosine monophosphate)のアセトアルデヒド(AA)アダクトであるCyclic 1,N2-propanoguanosine monophosphate adduct(CPr-Gua-P)の必要量を大量に合成し、質量分析及びNMR分析により確認した。CPr-Gua-Pを標準品として、所定濃度のAA存在下にHepG2細胞およびHL60細胞を培養し、抽出したtotal RNAのアルカリ分解産物中にCPr-Gua-Pを検出した。しかしながら、CPr-Gua-Pには異性体が存在すること、また、動物細胞を用いて飲酒で想定されるAA濃度の影響を推定するには検出感度の向上が必要であることなどが明らかとなり、この理由から、①CPr-Gua-Pの脱リン酸化体であるCPr-Guaの合成、②抽出total RNAのアルカリ分解または酵素的(Nuclease P1)分解の検討、③それら分解産物に対する脱リン酸酵素(BAP, CIP)作用の検討を行い、細胞由来RNAに関するCPr-Gua測定系(HPLCおよびLC/MS/MS)を確立した。LC/MS/MSにおけるCPr-Guaの定量について、検討した濃度範囲(0.01~1ng/mL)で良好な相関係数(r=0.9996)を示す検量線を得た。CPr-Guaの検出限界は10pg/mLで、CPr-Gua-Pに比べて10倍程度の感度上昇が得られた。本検討条件において、細胞由来の高分子RNAは、Nuclease P1とBAPまたはCIPにより効率よくnucleosideまで分解され、この前処理は、LC/MS/MS によるCPr-Guaの分析に有用であった。
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