研究概要 |
摂食不良を有する中等度栄養状態の対象者17名(男性15名、女性2名、76.2±9.2(標準偏差)歳)に、嚥下造影検査(videofluorographic swallowing study;VFSS)を行った。 嚥下造影検査時、通常、検査に用いる嚥下造影用ゼリーを食したときと、Transient receptor potential V1 agonistであるCH19sweetをふりかけた嚥下造影用ゼリーを食したときの嚥下造影画像を比較解析した。 結果であるが、舌口蓋、喉頭部、食道の動きが有意に改善した(P<0.01)現在、投稿中)。 Transient receptor potential V1 agonistであるカプサイシンは、これまで、人嚥下反射を改善し、急速効果だけでなく、慢性効果でも改善することが判明している(Ebihara T et al. Lancet 1993, J Am Geraitr Soc 2005)。しかし、これらは、咽頭部に少量の水を滴下することで起きる、一連の嚥下運動開始時までの時間を潜時としたときに、嚥下運動潜時の反応が早まるということを示したものであるが、実際の摂食に関し、transient receptor potential V1 agonistがどのように関与するか不明であった。本研究は、transient receptor potential V1 agonistは、嚥下運動開始のinitiationに影響を及ぼすだけでなく、嚥下運動の個々のステージに有意に改善することが分かった。 迫りくる高齢者社会にむかって、高齢者摂食嚥下障害は最重要課題の一つであり、今後、より臨床的研究発展が期待される。
|