研究課題/領域番号 |
23659376
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
秋下 雅弘 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (00261975)
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研究分担者 |
山口 潔 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (20451817)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 認知症 / QOL / バイオマーカー / コミュニケーション / 医療提供 |
研究概要 |
認知症患者に対する医療提供で最も問題となるのは、コミュニケーションが取れない点である。せめてQOLを評価して患者の気持ちを推し量ることができれば、医療適応の判断や治療効果の判定に役立つと期待できる。そこで、簡便なQOL質問票として、SF-8やVAS(visual analog scale)による自己評価指標に加えて、高度に進行した認知症患者でも他覚的に評価できるように、顔写真による表情解析や生化学的・生理学的マーカーの探索を行うことが本研究の目的である。 初年度は、実施体制作りと予備検討を中心に実施し、認知症精査目的で外来受診もしくは入院した患者30症例のデータ収集を行った。認知症の程度は軽度~中等度に進行した患者である。心理検査(認知機能、うつ状態の評価)、高齢者総合機能評価、意欲評価、QOL評価(SF-8)、気分・食欲・睡眠・全般的健康感・生活満足度・主観的幸福度を6段階のVASで自己評価。顔写真を撮影し、5名の看護師・5名の医師で推定年齢、万国共通の基本6感情(喜び、驚き、悲しみ、嫌悪、恐怖、怒り)を6段階のVASで他覚的に評価し、表情解析としている。さらに、動脈硬化、身体機能、骨格筋量、筋力、食事・栄養調査、活動度評価も行っており、総合的に認知症患者のQOLと関連する指標の探索を行っている。また、顔写真撮影と同時に、ストレスマーカーとして唾液中のアミラーゼ濃度を測定し、さらに唾液を保存してコルチゾール、クロモグラニンA、IgAを測定予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、倫理委員会審査や実行体制作りなど準備に時間を要することが当初より見込まれた。これらの準備は完了し、予備解析を行う予定の50症例には至らなかったが、30症例のデータを収集できたことから、おおむね順調に進行していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
方法を含めて実施体制は確立したため、あとは入院および外来患者を順次エントリーして、50症例でまず予備解析する予定である。その後、対象患者の偏りや評価項目の妥当性を勘案して最終的に200例までデータを集積して解析を行う。さらに、これらの結果をもとに、ケアや指導、薬物療法などの効果を検討していく予定であり、計画通り順調に遂行できると見込まれる。
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次年度の研究費の使用計画 |
初年度に引き続き、患者検体のアッセイを行うためのキットとその際に使用する消耗器具、試薬と外注検査代、これらを実施する研究補助員の人件費に主に充当する。また、成果を社会に発表するため、国内学会参加費、外国語校閲、論文投稿代に使用する予定である。
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