研究課題
抗加齢ドック受診者を対象としたコホート研究から、これまでに、のべ2,328件の立位動揺性(重心動揺、開眼片足立ち)のデータを得た。このうち、複数回受診した例を除く1,816件(65±10歳)について集計したところ、60秒を最大とした開眼片足立ち測定で、対象者の74.0%が60秒間立位を保持できた。片足立位保持時間が短くなるほど高齢であった(60 秒以上:63.0歳、40~59秒:70.6歳、20~39秒:71.3歳、20秒未満:74.1歳)。頭部MRIから評価した無症候性ラクナ梗塞と立位保持時間との関連を検討すると、保持時間が短くなるにつれて有病率が増加しており(60 秒以上:7.2%、40~59秒:9.7%、20~39秒:12.3%、20秒未満:18.2%、p<0.001)、性・年齢・収縮期血圧・BMIを調整した多変量解析においても、片足立位保持時間はラクナ梗塞と有意に関連した(p=0.009)。食後の過度の血圧低下がラクナ梗塞のリスクになることを報告したが(J Hypertens)、片足立位保持時間とラクナ梗塞との関連は食事性血圧変化とは独立であった。動揺に片足立位保持時間は、側脳室白質病変(p=0.001)や微小出血(p<0.001)とも独立して関連していた。また、無症候性脳血管障害にはインスリン抵抗性が関連することも報告したが(Clin Hemorheol Microcirc)、片足立位保持時間とラクナ梗塞、側脳室白質病変、微小出血との関連はHOMA指数で評価したインスリン抵抗性とも独立であった。両足立位で測定する重心動揺のパラメータ(総軌跡長、単位軌跡長等)と脳血管障害とは関連しなかったことから、より負荷の高い片足立位保持時間の方が、臓器障害のより鋭敏なマーカーになる可能性がある。
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J Hypertens
巻: 32 ページ: 1084-90
10.1097/HJH.0000000000000150.
Clin Hemorheol Microcirc.
巻: 55 ページ: 297-311
10.3233/CH-2012-1634.