研究課題/領域番号 |
23659386
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
宗形 佳織 慶應義塾大学, 医学部, 研究員(非常勤) (40528725)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | インフルエンザウイルス / 補中益気湯 / 漢方薬 / Defensin family / ERストレス / オートファジー誘導 |
研究概要 |
インフルエンザウイルスにおける発症抑制可能な新規予防法の確立を目的とし、漢方薬・補中益気湯に着目してその発症抑制機構の解明を検討した。予備実験1において、C57BL/6 マウスを2群に分け(n=10)、control群には精製水、補中益気湯群には補中益気湯1g/kg/dayを胃ゾンデで2週間連続強制経口投与した。その後インフルエンザウイルスA型/PR/8/34株(H1N1)を経鼻投与し、生存観察を行ったところ、補中益気湯の生存率がcontrol群に対して高い事が認められた。次に行った予備実験2では予備実験1と同様の実験系を用いて、経時的に肺洗浄液および肺を採取した。肺洗浄液をサンプルとしてPlaque assay法でインフルエンザウイルス力価の検討、Vesicular stomatitis virus を用いた生物学的IFN活性測定法でIFNα活性を検討した。また、肺homogenateをサンプルとしてRNAを抽出し、抗ウイルスシグナル伝達系の遺伝子発現(TLR7、 TLR9、NF-κB、MDA5、LGP2、IKK-I、IRF3、IRF7、RIG-I、IFN-β)および抗菌ペプチドとして知られるDefensin family 遺伝子発現を検討した。その結果、感染マウス肺中のインフルエンザウイルス価抑制、IFNα活性増加が認められ、さらに抗ウイルスシグナル伝達系の遺伝子発現には大きな変化が認められなかったもののDefensin family遺伝子発現においてはβ-Defensin 4を除いてインフルエンザウイルス感染による発現増加および補中益気湯投与によるさらなる発現増加も認められた。ウイルス価を抑制する事とDefensinのサブタイプにほぼ非特異的に作用する事がどのように関係するのかは今後の検討を必要とすると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度の研究実施計画は小胞体(ER)ストレス適応システムおよびオートファジー誘導の検討を除いてほぼ達成しており、引き続き平成24年度の計画に着手しつつある。
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今後の研究の推進方策 |
平成23年度の研究結果において抗ウイルスシグナル伝達系の遺伝子発現には大きな変化が認められなかった為、平成24年度の研究重心を考察する必要があると考えられる。平成23年度の研究実施計画のうち、未実施の小胞体(ER)ストレス適応システムおよびオートファジー誘導の研究を進め、これまでの結果と合わせて検討し、補中益気湯の感染防御機序の主体を明らかにする。その結果に従って平成24年度の研究重心を検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度も研究を主体とする為、物品費にそのほとんどを費やす計画である。また次年度は研究の成果として学会発表および論文投稿を予定している為、それらの費用がかかる事も予測される。
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