◆乳幼児・小児の有害異常血管へのコイル塞栓術において、金属コイル血管内留置の生体へ及ぼす影響・予後を懸念しアテロコラーゲンコイル開発を計画したが、H23年度計画実施に際しコイル作成が不可能となったため、新たにコラーゲン溶液を用いた液体状血管閉塞栓の開発を立案した。◆その資材は(株)高研から発売されている「アテロコラーゲンインプラント:以下ACI」である。冷所では液体状に、37℃以上で弾性に富むゲル状に変化する性質を持つ。眼科領域では涙腺閉鎖栓として、皮膚科領域では皮膚陥没充填剤として実用化されており、安全性は実証されている。◆H23、24年度は、このACIを経カテーテル的に異常血管へ留置するデリバリーシステムの開発と、適正濃度選択をin vitroに繰り返し実験した。◆デリバリーシステムは後方血流遮断目的である先孔式バルーンカテーテル内のマイクロカテーテルにACIを注入する方式を考案。またX線透視下での視認性と操作性を課題とした。◆ACIゲル化の観察では、極細径のカテーテル内を押し出すには高粘調性で抵抗が強く押し出し注入は困難であった。濃度調整を試みたが解決に至らず、直径の異なるカテーテルを各々試した結果、径5Fr以上ではゲル化が始まっても押し出し可能であることが確認された。そこで先孔式カテーテル内に直接ACIを注入する方式にデリバリーシステムを修正した。◆ACIはX線透視下で視認されず血管内注入に際しては何らかのマーカーが必要となるため、選択的造影の際に注入する造影剤をマーカーとした。◆以上の経過を経てH25年度にウサギを用いた動物実験に着手した。しかしウサギに対するカテーテル留置は技術的に困難であり、開始後しばらくの間はACI注入ができなかった。このため遅れていた研究実験が更に遅れる結果となった。今後、当初の計画通りに動物実験を進めていく予定である。
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