研究課題
高齢者を対象とした前向き研究(LAIDS study、BMJ2009)は、大脳皮質下病変が認知障害、抑うつ、転倒、誤嚥など老年病症候群と呼ばれる精神・身体疾患に関連することを示した。しかし、本邦ではこのような前向き観察研究は極めて乏しい。本研究では、グループホーム入居者を対象として、老年病症候群関連症状の推移とMRI、心機能検査、採血検査の経時的観察を中心とした3年間の前向き研究を実施した。本研究において、グループホームの入居者と、それに年齢をマッチさせた外来通院患者を対照群として臨床観察研究を実施し、高齢者の認知機能および日常生活活動度、脳皮質下病変や心臓機能および採血検査所見の2年間の変化を、前向き観察研究を実施して検証した。検査開始時点において、グループホーム入居者は外来通院者と比べて認知機能が低く、日常生活活動度が明らかに低下していた。心機能検査では両群ともに心電図上左室肥大、左心房負荷の所見を高頻度にみとめ、上室性不整脈を高頻度に合併した。両群の比較では不整脈の発生頻度に差異は無かった。心エコー図では左室壁厚の増加を左心房径の拡大を認めた。両群の比較では壁厚、左心房径に有意な差異を認めなかった。脳MRI所見については引き続き解析中である。採血検査所見では不飽和脂肪酸値に差異が認められた。すなわちグループホーム入居者は特定の不飽和脂肪酸値が低く、他の不飽和脂肪酸値が高値であった。食生活習慣にも差異が認められた。2年間の観察研究では死亡率に明らかな差異が認められた。死亡率の差異がいずれの因子を密接に関連するのかを多変量解析等で解析中である。
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The Turkish Journal of Gastroenterology
巻: Vol.24 No.1 ページ: 30-35
10.4318/tjg.2013.0558