研究課題/領域番号 |
23659392
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
下瀬川 徹 東北大学, 大学病院, 教授 (90226275)
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研究分担者 |
正宗 淳 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (90312579)
粂 潔 東北大学, 大学病院, 助教 (30431563)
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キーワード | 国際情報交換 / 遺伝子解析 / 次世代シークエンサー / 変異 / 膵炎 / 膵癌 |
研究概要 |
膵炎発症に関連する遺伝子異常としては、カチオニックトリプシノーゲンや膵分泌性トリプシンインヒビター遺伝子異常が知られている。しかし濃厚な家族歴を有するにもかかわらず、原因遺伝子の明らかではない家系もみられる。本研究では、次世代シークエンサーを用いて新たな膵炎関連遺伝子異常を同定することを目的とした。既知の膵炎関連遺伝子異常を認めない遺伝性膵炎・家族性膵炎3家系、7症例についてIllumina社HiSeq2000を用いて全エクソーム解析を行った。各サンプル平均1.76億リードが得られた。エクソン、スプライスサイトに含まれる多型を抽出し、dbSNP、1000Genomesに含まれるものを除外し、さらに家系内に共通してみられる1348個を候補遺伝子多型とした。その機能と発現部位などを確認し、さらに候補を絞り込んだ。その結果、膵炎との関連が予測された10個の遺伝子を抽出した。10個の内訳は、膵消化酵素あるいは膵発現蛋白4個、細胞内Ca関連2個、ユビキチンプロテアソーム2個、小胞体ストレス関連2個であった。これら候補遺伝子につき、慢性膵炎患者における頻度などを現在解析中である。一方、新たなトリプシン関連遺伝子異常として、キモトリプシンC (CTRC)遺伝子異常の日本人慢性膵炎患者における変異解析を行い、新規のミスセンス変異を5個同定した。CTRC遺伝子異常の日本人膵炎患者における頻度や分布は、欧米やインドのものと異なっていた。次世代シークエンサーを用いたアプローチは膵炎関連遺伝子異常の同定に有用な可能性が示された。
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