研究概要 |
IBD患者と健常人における高病原性菌感染率を比較し、IBD患者で保菌率が有意に高い虫歯菌であるS. Mutant変異株を同定した。この菌をマウス炎症性腸疾患動物腸炎モデル(マウスデキストランサルフェート投与化学腸炎モデル)に投与したところ、著明な腸炎の悪化を認めた。さらに詳細な解析を行ったところ、血症サイトカインの異常亢進を認めが、これらのサイトカインのうちガンマーインターフェロンに関しては肝臓で多く合成されていることを確認できたため、肝臓の異常病態の解析を行ったところ、虫歯菌の接種により、時間軸上でまず肝臓で炎症が惹起され、ついで腸管で腸炎が起こることを解明した。この際、肝臓で電子顕微鏡で虫歯菌の同定まで行うことができた。今回の成果は2012年発刊のSientific report誌に掲載され高い評価を受けた、また日経新聞等で紹介され国内外で注目を集めた。Kojima A, Nakano K, Wada K, Takahashi H, Katayama K, Yoneda M, Higurashi T, Nomura R, Hokamura K, Muranaka Y, Matsuhashi N, Umemura K, Kamisaki Y, Nakajima A, Ooshima T. Infection of specific strains of Streptococcus mutans, oral bacteria, confers a risk of ulcerative colitis. Sci Rep. 2012;2:332.
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