研究課題
種々の細胞現象を制御している細胞内情報伝達系は、関連分子群が細胞内の特定の部位に特定の時間に集積することで正常に作動すると考えられている。現在、この細胞内情報伝達系に関わる分子群の空間的・時間的に制御された細胞内配置に、細胞内小胞輸送が関与している可能性が高くなっている。しかし、その詳細については未だ不明な点が多い。そこで、本研究では、細胞内小胞輸送関連分子であるTaxilinに焦点を絞り、肝再生時に作動する細胞内情報伝達系関連分子群の細胞内配置の制御機構を解明するために研究を進め、本年度は、alpha-taxilinがトランスフェリン受容体を始めとする種々の細胞膜受容体のリサイクリングに関わるsorting nexin4(SNX4)に結合することを明らかにすると共に、細胞の基礎代謝に必須である鉄の細胞内への取り込みに関わるトランスフェリン受容体の細胞内輸送にalpha-taxilinが関与していることを明らかにした。alpha-taxilinの発現抑制は、トランスフェリンと結合したトランスフェリン受容体(T-T受容体)のエンドサイトーシスには影響を及ぼさなかったが、エンドサイトーシスされたT-T受容体の細胞膜へのリサイクリングを抑制した。さらに、alpha-taxilinの発現抑制は、SNX4が関わるリサイクリングエンドソームの出芽過程を抑制した。昨年度までに、alpha-taxilinが再生過程の肝細胞に細胞増殖依存性に発現していることやalpha-taxilinが微小管に結合する何らかの細胞内小器官に局在することを明らかにしており、alpha-taxilinがT-T受容体と連動した肝再生に関連する細胞内情報伝達系の場形成に細胞内小胞輸送を介して関与している可能性が出てきた。以上のことから、本研究では、新たな研究の展開に繋がる研究成果を挙げられたと考えている。
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Histochem. Cell Biol.
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PloS ONE
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http://www.dokkyomed.ac.jp/dep-m/mol-cell-bio/index.html