研究概要 |
構築したLGR5安定発現細胞株を用いたアッセイを継続した。これまでラットの脳ペプチド抽出画分からはCGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)しか陽性シグナルはなく、これはCHO細胞株に内因性に発現している受容体に作用したものと考えられた。今年度は脳以外の、消化管や下垂体組織のアッセイを行うとともに、LGR5にホモロジーの高いLGR4とLGR6の2つのオーファン受容体も同時にアッセイした。アッセイの指標としては、LGR4~6すべて細胞内cAMP濃度を測定することで行った。 その結果、組織のゲル濾過サンプルではいくつかの陽性シグナルらしきものが数フラクションに見られたが、これらは活性の強度や、そのあとのHPLCクロマトサンプルでのアッセイから、真の陽性シグナルではないと考えられた。LGR4とLGR6とのアッセイにおいても同じ結果で、明瞭な陽性シグナルは認められなかった。 そこでゲノムデータベースを用いたLGR5リガンド検索も行った。ショウジョウバエのLGR5ホモログの内因性リガンドが、バーシコンというヘテロダイマーのタンパク質であるが、このバーシコンにアミノ酸配列のホモロジーが高い、いくつかのほ乳類バーシコン類似タンパクをピックアップした。データベース検索で、ショウジョウバエのpatner of burs (pburs)のホモロジーの高い、Norrin, mucin部分ペプチド、vWF(フォンヴィーランド因子)ペプチドを見つけた。今後、gremlin をはじめとする7種類のbursicon類似タンパクと、pburs類似タンパクとを、培養細胞あるいは大腸菌で発現させ、ダイマーを形成するか、あるいはLGR4~6を活性化するかを調べる計画である。
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