ハッチンソンギルフォード早老症候群の病態解明に関する基盤研究

2012 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 23659411
• 研究機関: 新潟大学
• 研究代表者: 南野 徹 新潟大学, 医歯学系, 教授 (90328063)
• キーワード: 早老症

研究概要

加齢は、心血管疾患のリスクファクターとして良く知られているが、「なぜ、加齢に伴ってそれらの疾患の有病率が増加するのか？」については、よくわかっていない。一方、早老症候群は、若年期に老化の形質を示す遺伝性の疾患として知られており、その病態生理の解明は、高齢者における心血管疾患の発症予防・治療に有用である。そこで本研究では、早老症候群のひとつでプロジェリンが原因分子である、Huchinson-Gilford早老症候群の病態生理を解明することによって、循環器疾患（特に動脈硬化性疾患）の新たな治療のストラテジーを開発することを目的とする。
血管内皮細胞と血管平滑筋細胞におけるプロジェリンの特異的な相互作用タンパクを同定するために、血管内皮細胞と血管平滑筋細胞に野生型のラミンAとプロジェリンを導入し、それぞれ免疫沈降によって得られた試料について、iTRAQを用いたプロテオミクス解析をおこなったところ、DNA傷害の修復に関与し、p53シグナルの上流分子であるDNA-PKを同定した。プロジェリンを導入した血管内皮細胞においては、細胞老化・細胞死が誘導されるとともに、DNA-PKの活性化がおこっていた。DNA-PKを欠失させるとプロジェリン導入による老化・細胞死の形質を回避することができた。DNA-PKの欠失は、プロジェリン導入によるp53の活性化やp21/p16の発現亢進なども有意に抑制していたことから、Huchinson-Gilford早老症候群の病態生理におけるDNA-PKの重要性が示唆された。

研究成果

• [雑誌論文] p53-induced adipose tissue inflammation is critically involved in the development of insulin resistance in heart failure (2012)
  • 著者名/発表者名: Shimizu I, Yoshida Y, Katsuno T, Tateno K, Okada S, Moriya J, Yokoyama M, Nojima A, Ito T, Zechner R, Komuro I, Kobayashi Y, Minamino T. 1234678GB005 p53-induced adipose tissue inflammation is critically involved in the development of insulin resistance in heart failure. 1234678GC005 Cell Metab
  • 雑誌名: Cell Metab 巻: 15 ページ: 51-64
  • DOI: doi:10.1016/j.cell.2012.03.047.
  • 査読あり
• [雑誌論文] Brain-derived neurotrophic factor protects against cardiac dysfunction after myocardial infarction via a central nervous system-mediated pathway (2012)
  • 著者名/発表者名: Okada S, Minamino T et al.
  • 雑誌名: Arterioscler Thromb Vasc Biol 巻: 32 ページ: 1902-1909
  • DOI: 10.1161/ATVBAHA.112.248930
  • 査読あり
• [雑誌論文] Complement C1q activates canonical wnt signaling and promotes age-related phenotypes (2012)
  • 著者名/発表者名: Naito AT, Minamino T et al.
  • 雑誌名: Cell 巻: 149 ページ: 1298-1313
  • DOI: 10.1016/j.cell.2012.03.047.
  • 査読あり
• [雑誌論文] Agonist-independent constitutive activity of angiotensin II receptor promotes cardiac remodeling in mice (2012)
  • 著者名/発表者名: Yasuda N, Minamino T et al.
  • 雑誌名: Hypertension 巻: 59 ページ: 627-633
  • DOI: 10.1161/HYPERTENSIONAHA.111.175208.
  • 査読あり
• [雑誌論文] Aldosterone does not contribute to renal p21 expression during the development of angiotensin II-induced hypertension in mice (2012)
  • 著者名/発表者名: Nakano D, Minamino T et al.
  • 雑誌名: Am J Hypertens 巻: 25 ページ: 354-358
  • DOI: 10.1038/ajh.2011.224.
  • 査読あり
• [学会発表] Cardiac-adipose vicious cycle is critically involved in the development of heart failure (2013)
  • 著者名/発表者名: Minamino T
  • 学会等名: 日本循環器学会
  • 発表場所: パシフィコ横浜（横浜市）
  • 年月日: 20130315-20130317
  • 招待講演
• [学会発表] Cellular aging signal network and lifestyle-related disease (2013)
  • 著者名/発表者名: Minamino T
  • 学会等名: 日本循環器学会
  • 発表場所: パシフィコ横浜（横浜市）
  • 年月日: 20130315-20130317
  • 招待講演
• [学会発表] 老化シグナルネットワークによる循環代謝制御 (2012)
  • 著者名/発表者名: Minamino T
  • 学会等名: 日本分子生物学会
  • 発表場所: 福岡国際会議場（福岡市）
  • 年月日: 20121211-20121214
  • 招待講演
• [学会発表] 高血圧と血管老化のメカニズム (2012)
  • 著者名/発表者名: Minamino T
  • 学会等名: 日本血管生物医学会
  • 発表場所: あわぎんホール（徳島市）
  • 年月日: 20121205-20121207
  • 招待講演
• [学会発表] 臓器間老化シグナル制御と生活習慣病 (2012)
  • 著者名/発表者名: Minamino T
  • 学会等名: 日本心血管内分泌代謝学会
  • 発表場所: 東京大学（東京都）
  • 年月日: 20121123-20121124
  • 招待講演
• [学会発表] Aging and cardiovascular disease. (2012)
  • 著者名/発表者名: Minamino T
  • 学会等名: American Heart Association
  • 発表場所: Los Angeles Convention Ctr(USA)
  • 年月日: 20121103-20121107
  • 招待講演
• [学会発表] 老化シグナルネットワークによる循環代謝制御 (2012)
  • 著者名/発表者名: Minamino T
  • 学会等名: 日本肥満学会
  • 発表場所: ホテルグランヴィア京都（京都市）
  • 年月日: 20121011-20121012
  • 招待講演
• [学会発表] Regulation of Cardiovascular Metabolism by the Aging Signal Network. (2012)
  • 著者名/発表者名: Minamino T
  • 学会等名: 日本高血圧学会
  • 発表場所: ウェスティンナゴヤキャッスル・名古屋能楽堂（名古屋市）
  • 年月日: 20120920-20120922
  • 招待講演
• [学会発表] Akt1による寿命調節機構 (2012)
  • 著者名/発表者名: Minamino T
  • 学会等名: 日本抗加齢医学会
  • 発表場所: パシフィコ横浜（横浜市）
  • 年月日: 20120622-20120624
  • 招待講演
• [学会発表] 脂肪老化制御と生活習慣病 (2012)
  • 著者名/発表者名: Minamino T
  • 学会等名: 日本抗加齢医学会
  • 発表場所: パシフィコ横浜（横浜市）
  • 年月日: 20120622-20120624
  • 招待講演
• [学会発表] 臓器間ネットワークによる循環代謝制御 (2012)
  • 著者名/発表者名: Minamino T
  • 学会等名: 日本内分泌学会
  • 発表場所: 名古屋国際会議場（名古屋市）
  • 年月日: 20120419-20120421
  • 招待講演
• [学会発表] 老化、細胞死と循環代謝性疾患
  • 著者名/発表者名: Minamino T
  • 学会等名: 日本Cell Death学会
  • 発表場所: 名古屋大学（名古屋市）
  • 招待講演
• [図書] 高齢者用食品の開発と展望 (2012)
  • 著者名/発表者名: 南野 徹
  • 総ページ数: 302
  • 出版者: シーエムシー出版
• [図書] 循環器医から寄せられる「糖尿病と血管合併症」に関する１００の質問 (2012)
  • 著者名/発表者名: 南野 徹
  • 総ページ数: 231
  • 出版者: メディカルレビュー社
• [図書] 循環器疾患の最新医療 (2012)
  • 著者名/発表者名: 舘野馨、南野 徹
  • 総ページ数: 506
  • 出版者: 先端医療技術研究所
• [備考] 新潟大学大学院医歯学研究院循環器内科
  • URL: http://www.med.niigata-u.ac.jp/car/