研究課題/領域番号 |
23659418
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
勝谷 友宏 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任准教授 (30311757)
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研究分担者 |
中神 啓徳 大阪大学, 連合小児発達学研究科, 寄附講座教授 (20325369)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | アンジオテンシンII / ワクチン / 血圧 |
研究概要 |
1)アンジオテンシンIIを標的としたDNAワクチン用ベクターの作成 アンジオテンシンIIは8個のアミノ酸からだけからなるためT細胞の活性化能が無いと想定されるために、T細胞活性化配列を付与する必要がある。また、同時に抗原提示能を高めるために、自己集合して球状になる性質を有するHepatitis B core (HBc) をを用いてアンジオテンシンIIをHBcのB cell epitope(A80-S81)に挿入したかたちで発現させるベクターを作製した。 作製したベクターがHBcとアンジオテンシンIIの融合蛋白(HBc-AngII)を正しく発現することを確認するため、ベクターをHEK293細胞にトランスフェクションし、この細胞抽出液に対し抗HBc抗体および抗アンジオテンシンII抗体でウエスタンブロットを行ったところ、それぞれの抗体で発現が確認できた。2)自然発症高血圧ラットでの薬効評価およびマウスでの機序解明 皮内への安定した遺伝子導入を実現するために、針無注射器のシマジェットを用いてHBc-AngIIベクターを高血圧ラット(SHR)の背部に2週間毎に3回投与し、血圧降下の程度およびアンジオテンシンIIに対する抗体価の上昇の程度を確認した。2回目投与後からアンジオテンシンIIに対する抗体価は有意に上昇し、血圧も同様に2回目投与後以降で有意に低下した。3回投与した後にそのまま観察を続けたところ、投与後半年間まで抗体の有意な上昇と血圧の有意な低下を認めた。 抗体の特異性の評価としては、アンジオテンシンIIのみならずIに対する抗体価の上昇も認めたが、アンジオテンシノーゲンに対する抗体価の上昇は認めなかった。また、血中アンジオテンシンIIの濃度はHBc-AngII群で有意に低下していた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
アンジオテンシンIIを標的としたDNAワクチンのベクター作成は早期に達成し、引き続いて動物モデルでの薬効評価を行うことができた。DNAワクチンの投与により、抗体価の有意な上昇とそれに伴う血圧の有意な低下を認め、抗体の特異性あるいは持続期間においても非常に興味深い結果を得ることができ、概ね順調に研究経過していると評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
免疫学的な評価を付与したいと考える。アンジオテンシンIIは8個のアミノ酸から構成され、それに対する抗体ができることからB cell epitopeにはなりうることは分かったが、T細胞の活性化能は厳密には評価できていない。そこで、アンジオテンシンIIにKLHをconjugateさせたペプチドワクチンを用いて免疫学的な解析を行う。AngII-KLH免疫後に脾臓由来の細胞を培養してそこにAngIIあるいはKLHを刺激して、エリスポットアッセイおよびT細胞増殖アッセイからT細胞の活性化の有無を評価する。また、AngII-KLH免疫後にAngIIを持続投与することによって、AngIIに対するブースター効果の有無を検討する。これからの活性からアンジオテンシンIIを標的としたワクチンの安全性を免疫学的に検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
マウス・ラット購入費・飼育費 70万円一般生化学試薬 20万円細胞培養試薬 20万円旅費 10万円
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