アンジオテンシンIIを標的としてDNAワクチンおよびペプチドワクチンの基盤技術の確立を目指した。アンジオテンシンIIに対するペプチドワクチンのマウスへの投与によりアンジオテンシンIおよびIIを認識する抗体産生が誘導されたが、アンジオテンシノーゲンに対する抗体は産生されなかった。また、抗原の量依存性に抗体価の上昇が認められた。アンジオテンシンII持続投与により血圧は有意に上昇するが、アンジオテンシンIIワクチン投与により降圧できた。また、心臓の肥大や血管周囲の線維化はアンジオテンシンII投与により亢進したが、これもワクチン投与により有意に抑制された。 同時にB型肝炎コア蛋白の配列を用いた液性免疫主導で抗体産生を誘導するようなDNAワクチンシステムを構築し、それをアンジオテンシンIIワクチンに応用した。高血圧自然発症ラットにアンジオテンシンIIを標的としたDNAワクチン治療を行ったとこおr、アンジオテンシンIIに対する抗体価上昇と血圧の有意な低下を6か月間持続させることに成功した。また、DNAワクチン治療後の高血圧モデル動物において、アンジオテンシンII自体が細胞障害性T細胞を活性化せず重篤な臓器障害も生じないことを確認した。
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