研究課題/領域番号 |
23659422
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
加藤 丈司 宮崎大学, フロンティア科学実験総合センター, 教授 (20274780)
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研究分担者 |
桑迫 健二 宮崎大学, フロンティア科学実験総合センター, 准教授 (20381098)
北村 和雄 宮崎大学, 医学部, 教授 (50204912)
鶴田 敏博 宮崎大学, 医学部, 講師 (10389570)
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キーワード | 降圧ペプチド / アドレノメデュリン / ANP / BNP / 機能増強 / 高血圧 / 心血管疾患 / 腎疾患 |
研究概要 |
アドレノメデュリン(AM)および心房性と脳性ナトリウム利尿ペプチド(ANPとBNP)は、降圧ペプチドであり、高血圧、心血管疾患および腎疾患の発症進展に対して抑制的に作用する。これらの血中濃度は、血圧上昇や疾患重症度に関連して上昇するが、濃度上昇や機能が不十分であることが1つの要因となり、結果として高血圧や心血管・腎疾患を発症すると考えられている。一方、降圧ペプチドが必要かつ十分に機能して、これらの疾患を発症しない「機能増強個体」を同定したとの報告はない。本研究では、健診受診者のなかから、AM、ANPまたはBNPの機能が十分に発揮され、高血圧や心血管・腎疾患を発症していないと判断される健常人(降圧ペプチド機能増強群)の同定を試みる、そのうえで、循環調節因子のプロフィールを含めて機能増強群の臨床的特徴を明かにし、機能増強に関する循環生理学的および遺伝的分子生物学的背景を解明することを目的としている。平成24年度までに、代表者らは、1)地元自治体の健康診査受診者を対象に、研究実施に関する書面同意を得て、降圧ペプチド測定のための採血を実施した(n=248)。2)既に採血して保管されている血漿サンプルのAM、ANP、BNP、NTproBNPの測定を行った(n=1015)。3)AM、ANP、BNP、NTproBNPの測定結果と健診より得られた臨床データを基に、解析の基盤となるデータベースを構築した。そのうえで、慢性腎臓病(CKD)の発症をエンドポイントに、7年間の追跡調査をした。Kaplan-Meier解析およびCox解析により、ANP高値はCKD発症と関連していることが判明した。現在、ANPが高値であり、かつCKD 発症無しの対象者の臨床的特徴を解析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1)解析の基盤となるデータベースを構築し、データベースのvalidityを確認することができた。 2)慢性腎臓病(CKD)の発症をエンドポイントとした追跡調査の解析結果が得られた。
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今後の研究の推進方策 |
1)健康診査時に得られた血漿サンプルのうち、未測定の血漿AM、ANP、BNP、NTproBNP濃度を、IRMA、CLEIAまたはECLIAを用いて測定する。 2)測定結果を用いてデータベースを構築し、サンプルサイズを大きくする。 3)構築したデータベースを用いて、AM、ANPまたはBNPの機能が十分に発揮され、高血圧、心血管疾患および腎疾患を発症していないと判断される健常人(機能増強群)の同定を試みる。 4)機能増強群の循環調節因子のプロフィールを含めて機能増強群の臨床的特徴を明かにする。
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次年度の研究費の使用計画 |
1)血漿AM、ANP、BNP、NTproBNP濃度のIRMA、CLEIAまたはECLIAによる測定(300千円) 2)上記測定のための試薬やチューブ等の消耗品購入(400千円) 3)データ処理およびデータベース構築のための謝金(100千円) 4)研究打合せおよび研究発表のための旅費(100千円)
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